2023.01.31
但馬CULTURE VOL.84 人々から崇められる足痛の神様
のどかな田園に囲まれた兵庫県豊岡市中郷(なかのごう)地区。 ここに鎮座する「葦田神社(あしだじんじゃ)」は、地元で「あいたっつあん」と呼ばれ、足痛を治す神様として崇められています。 ―天日槍(あめのひぼこ)の家探し その昔、湖の底であった但馬を但馬開発の祖である天日槍が、津居山の岩山を切り開いたことで、水流を作りだんだんと美
2022.12.20
但馬CULTURE VOL.83 大乗寺の襖絵
兵庫県美方郡香美町香住区に佇む「大乗寺」は、江戸時代の絵師・「円山応挙」とその弟子たちの手で描かれた襖絵が多く収納されていることから別名「応挙寺」としても親しまれています。 普段襖絵は保存のため再製画が展示されていますが、現在13年ぶりに、特別公開が行われています。(2022年12月時点) ―「大乗寺」とは 「大乗寺」は天平
2022.09.29
但馬CULTURE VOL.82 但馬養蚕業の先駆者 上垣守国ゆかりの地
古くから養蚕が盛んだった兵庫県養父市には、明治の近代化により機械製糸業が隆盛を極めた大屋町蔵垣の集落があります。 優良な繭の生産地であった同市は、グンゼ株式会社の大規模な製糸工場が建てられ、西日本の養蚕の中心地域となったほどでした。 ―先駆者の存在と海を渡った書物 市で養蚕製糸業の礎を築いたのが「上垣守国(うえがき もりくに
2022.08.22
但馬CULTURE VOL.81 歴史ある海辺のまち・佐津(さづ)
佐津川右岸に位置し、日本海に面する香美町香住区訓谷。 白砂青松の静かな海岸が広がり夏場に多くの海水浴客が訪れるまちです。 ―まち並みを変えたレジャーブーム 昭和30年代後半のレジャーブームから増え出したという旅館・民宿が立ち並ぶこのまちは                          昔は山から流れ下りてくる佐津川の恩恵
2022.05.31
但馬CULTURE VOL.80 あさご芸術の森美術館でアートに触れる
朝来市多々良木(たたらぎ)にある「あさご芸術の森美術館」。館内外には多くの彫刻作品があり、自然と共にアートに触れることができます。 ―ダムのふもとに広がる芸術の森 自然石を積み上げた雄大なロックフィルダム「多々良木ダム」の下に広がるのは、大きなモニュメントが溶け込んだあさご芸術の森。緑豊かな里山に、個性あふれる彫刻が出迎えて
2022.03.23
但馬CULTURE VOL.79 進化を続ける「農業特区」とは
2014年、国家戦略特区に指定された兵庫県養父市。様々な挑戦を続ける農業特区をご紹介します。 ―硬い「岩盤規制」 役所や業界団体などが改革に強く反対し、緩和や撤廃が容易にできない規制を岩盤規制と呼びます。農業、医療、雇用などの分野で、地域を特定して、それを突破しようというのが「国家戦略特区」。特定の地域に限って法律などの規制
2022.02.22
但馬CULTURE VOL.78 大切なものの帰りを願う「かえる島」伝説
兵庫県香美町香住区にある今子浦(いまごうら)は風光明媚な海岸です。この海岸にあるひときわ目立つ奇岩「かえる島」には、古くから様々な願いを叶えてきたという言い伝えがありました。 ―カエルのような奇岩 「かえる島」は、香住の海岸線を通る県道11号線沿いにある「今子浦海水浴場」の目の前にあります。カエルが座った形をしていることから
2022.01.13
但馬CULTURE VOL.77 「春よ来い」と待ちわびる峠 春来峠
「牛の背に 我も乗せずや 草刈女 春来三里は あふ人もなし」。これは1903年、新温泉町生まれの歌人 前田純孝(すみたか)が東京からの帰省途中に詠んだ短歌です。山陰道として人々が行き交った「春来峠」の険しさを詠みました。 ―旅人泣かせの難所 春来峠は、兵庫県美方郡香美町の村岡区から、新温泉町にある湯村温泉をへて鳥取県へと続く
2021.12.08
但馬CULTURE VOL.76 但馬開拓を祈願された地がため地蔵
兵庫県朝来市と丹波市付近にある遠阪峠。かつては但馬国と丹波国の国境であり、円山川水系と加古川水系との中央分水嶺でもあります。その峠の朝来市山東町側の登り口付近には、「地がため地蔵」と呼ばれるお地蔵さんが小さな祠に祀られています。 ―神々の開拓 かつて、但馬の地は泥海でした。人々の生活は苦しく、大変難儀だったと言います。 そこ
2021.11.30
但馬CULTURE VOL.75 香美町の名品プロジェクト
海と山に囲まれた兵庫県美方郡香美町。種類豊富な特産品に恵まれており、地元ではそれらを使用し様々な加工食品が作られています。その知名度向上のため2018年に同町商工会が立ち上げたのが、「香美町の名品」プロジェクトです。 ―個性豊かな香美町 香美町は、3地区から成り立っています。日本海に面し、関西で唯一紅ズワイガニの水揚げを行う
2021.10.22
但馬CULTURE VOL.74 民俗芸能伝承のまち 新温泉町久谷
兵庫県新温泉町の東端にある久谷地区。全国的に「久」の文字は「木」を表す地名が多いため、燃料の採取地であったことが地名の由来と考えられています。その名の通り、三方を山に囲まれた谷筋に位置した集落です。 ―険しい峠道を越えて 久谷地区から国道178号の桃観(とうかん)峠を超えると、香美町余部地区に入ります。太ももがうずくほど険し
2021.09.27
但馬CULTURE VOL.73 山の中なのに?「海上(うみがみ)」地名の秘密
兵庫と鳥取の県境、扇ノ山山ろくに広がる上山高原。ブナ林とススキ草原で知られる高原へ向かう山道の途中に突如現れる小さな集落が、新温泉町の「海上」です。 ―不思議な地名 標高350〜400メートルの山あいに位置する海上。まず驚くのは、なんと言ってもその地名です。 「どうして山の中なのに海上なの?」と、訪れる人は誰もが疑問に思うそ
2021.08.16
但馬CULTURE VOL.72 人と自然が共存する瀞川平(とろかわだいら)
兵庫県香美町村岡区にある高原、瀞川平(とろかわだいら)。県の観光百選第1位にも選ばれたほどの景勝地で、氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の一部でもあります。 ―美しい瀞川平 瀞川平は標高680メートル前後のなだらかな高原地帯。渓谷や滝などと相まって、見事な景観美を生み出しています。 県指定天然記念物で
2021.07.07
但馬CULTURE VOL.71 但馬の夏の風物詩 ツバメのねぐら入り
夏、夕暮れの円山川。川沿いで一斉に急降下を繰り返す大量のツバメを見かけ、驚いた方もいるのではないでしょうか。夏の風物詩、「ツバメのねぐら入り」です。 ―円山川沿いで眠る 太陽がゆっくりと地平線へと沈むころ、薄紫色の空を舞台に「ツバメのねぐら入り」が始まります。 「ねぐら」とは眠る場所のこと。昼間は各地に散っていたツバメが集団
2021.06.17
但馬CULTURE VOL.70 養父市 八木城下町
鎌倉時代から八木氏15代が栄えた兵庫県養父市八鹿町八木。周辺はかつて八木城下町として賑わいました。今でもその痕跡はまちに刻まれ、歴史を辿ることができます。 ―交通の要所 養耆(やぎ) 八木の歴史は古く、昔は「養耆(やぎ)」と書き記されていました。古来より但馬と因幡を結ぶ交通の要所で、今も山陰道が家々を縫うように残っています。
2021.05.28
但馬CULTURE VOL.69 兵庫県下最高峰 氷ノ山
兵庫県下の最高峰、氷ノ山。兵庫県養父市と鳥取県八頭郡若桜町との県境にあり、標高1,510mもの高さを誇ります。中国山地の中でも鳥取県の大山に次ぐ高さであり、古くから信仰の対象でもありました。 ―兵庫アルプスと呼ばれた山々 氷ノ山は周囲を1,000m級の山々に囲まれており、それほどの高さは感じさせません。それでいて山頂に立つと
2021.04.28
但馬CULTURE VOL.68 今こそ知りたい!「ジオパーク」って?
奇岩・洞門が点在する風光明媚な海岸線、滝や渓谷が織りなす壮大な景色の山々、そして豊富な温泉資源。多種多彩な地質遺産を多く有する「山陰海岸ジオパーク」は日本海誕生の歴史と、そこに住む人々の暮らしや文化を学べる場所として、2010年、世界ジオパークに認定されました。 ―“山陰海岸”と“ジオパーク” ジオパークとは地球科学的に見て
2021.03.05
但馬CULTURE VOL.67 袖ヶ池(そでがいけ)のお姫様伝説
兵庫県養父市にある琴弾峠(ことびきとうげ)は琴引山(ことびきやま)とも呼ばれ、江戸時代から俳句に読み込まれる名所になっています。その峠の山頂付近にある小さな池「袖ヶ池」には、とある悲しい姫の伝説が残されていました。 ―秀吉に落とされた城 養父市八鹿町八木にある八木城跡は、国指定文化財でもある史跡です。その昔八木城は、羽柴秀吉