かすみ海上ジオタクシーとは、ユネスコ世界ジオパークに認定されている山陰海岸国立公園「香住海岸」の絶景スポットを小型船で巡る「海の観光遊覧」です。
―かすみ海上ジオタクシー
かすみ海上ジオタクシーは「海から見る香住海岸は格別。もっと気軽に見られるようにしたい」と2018年に発足した、かすみ海上タクシー事業組合が始めた遊覧船です。小型漁船で小回りがきくため、今までフェリーなどの大型漁船では入れなかった洞門にも入ることができ、自然の神秘をさらに間近で感じることができます。
「以前、香住海岸では大型遊覧船が人々を楽しませていましたが、2016年に姿を消しました。遊覧船がなくなってからはシーカヤックの利用者しか奇岩群などに近づくことができず、海から見る香住海岸を気軽に見てもらいたいと思う日々が続いていました」。そう教えてくれたのは、地元で長年民宿を営む西本庄作さん。かすみ海上GEO TAXIを運営する「かすみ海上タクシー事業組合」の組合長であり、発起人として遊覧船を復活させた一人です。
船長を務めるのは現役漁師を中心とした、香住の海を知り尽くしている海の男たちです。入念な保安点検を行い、無事故と安全を徹底している他、波や風など様子が変わりやすい海上では、海を見続けてきたベテラン漁師の勘が頼りになります。寡黙な彼らは、当初「恥ずかしい」とガイドに消極的でしたが、開業前に客室乗務員向けの講師に指導を受けると「自分の言葉で説明したい」と意識が変化しました。その後、自身の仕事や幼少期のエピソードを交えるなど船長ごとに工夫が増え、今では流暢な香住弁で乗客たちを楽しませています。
欠航時も、漁港ならではの「船長直伝ちくわ作り体験」などで楽しむことができ、港町ならではのアイデアで溢れています。
―間近で見る奇岩や絶景
ユネスコ世界ジオパークに認定されている「山陰海岸ジオパーク」。岸壁ギリギリから見る山陰海岸ジオパークは、奇岩や絶景が迫ってくるように感じられるのが一番の魅力です。さらには小型漁船ということから、日本海の透明度の高い海が近いのも観光客に喜ばれるそうです。
コースは3種類、30分、60分、90分から選ぶことができ、東は「かえる島」、西は世界最大級の海食洞「釣鐘洞門」まで、約10km圏内の海域に10箇所以上のスポットがあります。
ネイティブ・アメリカンに姿が似ていることからその名がついた通称「インディアン島」。ロゴにも使用されている奇岩です。裏側の顔は陸からだと見られないので「ぜひ乗船して見てほしい」と西本さん。
岩壁を進んだ「青の広場」と呼ばれる人気スポットもあります。海底にも岩が多い難所ですが、小型漁船である海上タクシーが観光を可能にしました。観光業者からのアドバイスで、漁師が知らなかった絶景スポットの発見もありました。
―多業種がサポート
海上タクシーは小型船で海を遊覧するアクティビティですが、同組合は民宿業者が中心となり、理念に賛同した漁業や製造業などの幅広い業種が参加してお互いを支え合っています。
「いろいろな業種の組合員がいることで、乗船後の食事やお土産などの案内がスムーズになりました。皆にとって相乗効果があり、香住の魅力を五感で伝えられます」と、西本さんは笑顔を浮かべます。
日本海と生きるまち、香住。海上を潮風と共に駆け抜けてみてはいかがでしょうか。
LINK UP かすみ海上タクシー事業組合(かすみ海上GEO TAXI)
■ かすみ海上GEO TAXI [所]兵庫県美方郡香美町香住区境1115(乗り場) [問]080-2434-0001 [HP]https://kasumi-geo-taxi.com/ |