但馬CULTURE VOL.84 人々から崇められる足痛の神様


のどかな田園に囲まれた兵庫県豊岡市中郷(なかのごう)地区。
ここに鎮座する「葦田神社(あしだじんじゃ)」は、地元で「あいたっつあん」と呼ばれ、足痛を治す神様として崇められています。

―天日槍(あめのひぼこ)の家探し

その昔、湖の底であった但馬を但馬開発の祖である天日槍が、津居山の岩山を切り開いたことで、水流を作りだんだんと美しい田んぼに代わっていた頃の話です。

天日槍は、その美しい光景が見渡せる所に屋敷をかまえようと、家来に適当な場所を探させていました。

家来はあちこち探しまわり、中郷に見晴らしのいい土地を見つけたものの、あまりの美しさに自分が気に入ってしまい天日槍に隠していました。

それを知った天日槍が怒り、剣を抜いて家来に切りかかって、家来の足を傷つけたのでした。

負傷した家来はその場から逃げ去り、山の中で傷を治したそうです。

―天日槍の随神「あいたっつあん」の由来

しばらくして天日槍は怒り過ぎたことを反省して、見つけた土地を家来に与えました。

家来はとても喜び、それ以来、足を痛めて苦しんでいる人々の傷を癒やすことを誓ったといいます。

その家来が、天日槍に切りつけられた時に「あいた!」といったことから、地元では「あいたっつあん」と呼ばれ、足痛を治す神様として人々から崇められるようになりました。

その名にちなんで神社周辺の地域は「アイタチ」と呼ばれています。

―「葦田神社」に今も残るもの

拝殿には、靴や松葉づえ、ギプスなど、足のけがが治った人たちが神様へのお礼に供えたものがいくつか残っています。

また、鳥居を抜けて静かな境内に入ると左手には、天日槍が「あいたっつぁん」の足を切りつけた際、一緒に切ったとされる刀傷のついた「切岩」が今も残っています。

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■葦田神社
[所]兵庫県豊岡市中郷1141
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