但馬CULTURE VOL.88 養父神社の狼像 《養父市》


「養父の明神さん」とよばれ、農業の神として地元の人に親しまれてきた兵庫県養父市養父市場の「養父神社」。

但馬五社の一つとして有名な神社でもあります。

初詣をはじめ鮮やかに色付く紅葉のシーズンに多くの人が訪れる同神社に珍しい石像があるのをご存知でしょうか。

ある伝説も交えてご紹介していきます。

※但馬五社とは…但馬国を作った神様が祀られている神社のこと。
「養父神社」のほかに但馬南北に点在し「出石神社、栗鹿神社、絹巻神社、小田井縣神社」がある。

―農作物を守る守神「狼像」

珍しい石像は、拝殿までまっすぐ敷かれた石畳の道の両脇にいます。

一見、4体の狛犬が並んでいるように見えますが、よく見ると狛犬と一緒に尻尾を高く上げた2体の「狼像」がいるのがわかります。

狛犬よりも石積みされた土台の上に向かい合っているのが特徴で、口を開けているものが雌で、閉じているものが雄とされています。

養父神社では、田畑を荒らす猪や鹿から作物を守る益獣として”狼”を守り神にしており、これらの珍しい一対はその象徴になっています。

またこの場所は、ある人物が猛獣退治のため出向いたという伝説が残っています。

 

―武将が授かった「鏑矢(かぶらや)」

江戸時代に幕府が作った朝倉氏と八木氏の系図に「朝倉高清」という武将と同神社に関わるお話”白猪(しらい)退治伝説”があります。

時は鎌倉時代、関東で2メートルを超える大きな白猪が暴れていました。

将軍・源頼朝に白猪退治を命じられた「高清」は、狼を守護とする養父神社に7日間こもって祈願をおこない、神前から霊力のある「鏑矢」を授かりました。

そしてその矢で見事、白猪を退治することに成功した「高清」は、頼朝に功績を認められ家来として迎えられたとされています。

―今日の”狼”に会いに行こう

すでに絶滅してしまったと言われている日本狼ですが、養父神社では今日も石像として神様の使いとして私たちの生活を見守っています。

但馬では、但馬五社すべて巡るとご利益があるという縁起担ぎがあります。

訪れた際は、ぜひ養父神社の石像にも会いにきてみてください。

独特の形をしているので狛犬と見比べて観察してみるのも面白いですよ。

境内には農業の神様のほか養蚕、穀物、牛馬の神様も祀ってあります。

LINK UP 養父神社の狼像

■養父神社
[所]兵庫県養父市養父市場
[TEL]079-665-0252
[HP]https://www.yabu-jinja.jp

 

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