兵庫県養父市八鹿町米里(めいり)にある農家レストラン「村ん中」。田んぼが広がる山裾の畑の一角にポツンと佇む小さなレストランで、2019年にオープンしました。国家戦略特区である養父市の特例を活用した、養父市で初めてのレストランです。
― 市内初の農家レストラン
お店を切り盛りしているのは、八鹿町内で湯葉料理屋を経営している中村傑(すぐる)さんとみどりさんご夫婦。農家レストラン設置に係る特例を使い、農地だった場所にレストランを建てました。元々、農地は農業目的以外の利用が認められておらず、農業施設しか建設することができませんでした。しかし特例により規制が緩和され、農家レストランを農業用施設として扱うことが認められたのです。
その結果、農産物を材料とした料理を提供するレストランの開設が可能となりました。この特区を活用した農家レストランでは「提供する料理の50パーセント以上は養父市産」との要件が定められており、昔から地元に伝わる大豆「八鹿浅黄」や地元野菜をふんだんに使った湯葉料理が楽しめます。
― 養父の緑に包まれて
数年前から「広々とした景色の中で新店舗を開きたい」と、古民家や場所探しをしていた傑さん。
「この場所を訪れた時は稲穂が実る季節でした。田んぼに立って周りを見ると目の前に広がる黄金の世界!その景色にひとめぼれしました」と当時を振り返ります。「もうここしかない」と心に決めたものの、ここは農地。「農地でレストランをするにはどうしたらいいのか」と市へ相談し、特例の活用へと至ったといいます。
農家が農家レストランを開くのが一般的ですが、飲食店経営者が“農家”になり、レストランを開く事例は珍しく、オープン時から注目を集めていました。
― 育つ野菜たち
「野菜は無農薬にこだわっています。お店で出しているお米は、すぐ目の前の田んぼでとれたものですよ」とみどりさん。敷地内の畑では八鹿浅黄や野菜を育てています。開店当初は植えた夏野菜が、元が田んぼだったため水捌けが悪く、うまく育たなかったこともあったそうです。農家の方と情報共有しながら、日々栽培に励んでいます。
「お客さんの『わぁ』と驚いた声が聞きたい」との思いで作られる料理には、粋なアレンジが散りばめられており、傑さんならではのセンスが光ります。
「夫婦2人でできる範囲でやっていきたい。のんびりと長く続けられることが目標です」と優しく笑うふたり。見晴らしのよい景色を眺めながら地産地消なお食事を楽しんでください。
LINK UP 農家レストラン「村ん中」
■農家レストラン「村ん中」 [所]兵庫県養父市八鹿町米里851-2 [問]090-3350-7972 [時]ランチタイム 11:00~14:00(13:30L.O) 和みタイム 14:00~17:00(16:30L.O) 夜のお食事(要予約) 18:00~21:00 [休]月曜日(他不定休) (HP)https://murannaka.com/ |