(画像:山本運輸株式会社 ライフスタイル事業部長 髙森敬策さん)
兵庫県養父市にある山本運輸株式会社は、1959年創業の老舗運輸会社です。企業の土台となる運輸事業をはじめ、倉庫事業、ゴムクローラー修理事業、環境対策事業、ライフスタイル事業といった5つの事業から構成されています。
ライフスタイル事業ではキャンピングカーを取り扱っており、災害時に無償提供する協定も養父市と結んでいて、能登半島地震では職員の寝泊りを助けました。平時はレンタルも行っており、名古屋から借りに来るほどの人気車両を取り揃えています。
―コンテナ型ランドリーという新提案
(画像:「COMOREBI」設置風景 山本運輸株式会社 提供)
さらにキャンピングカーだけでなく、ライフスタイル事業でコンテナ型移動式ランドリーサービス「COMOREBI」を提供しています。2024年1月に起きた能登半島地震などで重要な支援を行いました。トレーラーハウスではなくトレーラーランドリールームという、前代未聞の試みです。東日本大震災や熊本地震で支援物資を運ぶボランティアを行っていた山本洋介社長が、「現地にとって何が一番大切か」と考えたのがきっかけだったと言います。
前例のないコンテナ型移動式コインランドリーを実現できたのは「運送業で培ったノウハウや、今までの実績と周囲からの信頼があったからこそ」と髙森さんは語ります。COMOREBIは、ENEOSマテリアルトレーディング株式会社が企画提案し、株式会社コンテナハウス2040.jpが製作を行いました。業務提携で各分野の強みを活かしたサービスです。
2023年8月に完成し、わずか10日後には台風7号の影響による断水のため養父市八鹿町伊佐地区にて設置され、要請後約8時間後には洗濯可能になったというから驚きです。またコンテナは普通車で牽引できるため機動力があります。牽引免許は必要なものの、トラックより運用のハードルが低いそう。「運転手不足に陥りがちな災害時でも多くの人が運べる」と山本社長。トラクター事情に精通している山本運輸ならではの視点が生かされています。
―あたたかいひとつの空間
(画像:「COMOREBI」牽引風景 山本運輸株式会社 提供)
名前の由来は、何かあったら集まれるような、木漏れ日のような暖かい場所にしたい、暖かい光を届けたいという想いでつけられました。コンテナの中に備え付けられているのは9台のドラム式洗濯機、木目調の床やガラス窓により、温もりと開放感溢れるしつらえになっています。
「社長が特に大切にしたのは、カフェのように集える内装や雰囲気作りです。単に“洗濯機が来た”ではなく、“1つの空間が来た”と感じてもらえるようにこだわりました」。そう語るのは、ライフスタイル事業部長の髙森敬策さん。平成7年に起きた阪神・淡路大震災の被災者の1人です。「復旧の際、洗濯は後回しにされがちです。被災すると“なぜ自分が”と辛くなりますが、清潔な衣服を着ることは、衛生面はもちろん、気持ちの面でも大切になってきます」。
空間づくりをこだわった「COMOREBI」では、洗濯の待ち時間にカフェのような一息つける空間で、10分〜15分の時間が楽しい、と落ち着ける時間になるように工夫が凝らされています。洗濯物を入れて帰るだけではなく、待っている間に「無事だったの?」「被害はどうだった?」といった会話が生まれていて、連絡が取れなかった人同士が再会する場面もありました。
「私も阪神・淡路大震災で被災した人の1人ですが、当時は本当に助けてもらいました。兄弟など血縁関係はもちろん、会社関係も含め大勢の人たちにです。被災地で『COMOREBI』の活動をしていると、私たちに手を合わせてくださる利用者もおられ、29年前の恩返しをさせてもらっている気持ちです」と高森さんは語ります。
―災害時だけなくて日常でも
災害時だけでなく、日常の手助けにもなる「COMOREBI」。道の駅に設置し、長期の運転をしているドライバーが使用したり、2泊以上のキャンプでも活躍します。また施設や近くに店舗のない場所に設置するなど、コンテナ型移動式ランドリーのため様々なケースでの使用が考えられています。
人手を増やさずに洗濯作業の効率化に大きく貢献でき、用途に応じて運営、貢献できるのが「COMOREBI」です。
今後、全国の人に注目されている「COMOREBI」を備えの確保という意味も込めて、2号機3号機と続き、コモレビのような暖かい場所を提供できればと考えていると言います。山本運輸は運送の仕事も、社会貢献も、災害支援も必要とされる企業を目指し、今日も取り戻すべき「日常」を届けています。
LINK UP 山本運輸株式会社
■ 山本運輸株式会社 [所]兵庫県養父市養父市場1041-2 [問]079-665-0344 [HP]https://sugomori.hyogo.jp/ |