但馬CULTURE VOL.78 大切なものの帰りを願う「かえる島」伝説


兵庫県香美町香住区にある今子浦(いまごうら)は風光明媚な海岸です。この海岸にあるひときわ目立つ奇岩「かえる島」には、古くから様々な願いを叶えてきたという言い伝えがありました。

―カエルのような奇岩

「かえる島」は、香住の海岸線を通る県道11号線沿いにある「今子浦海水浴場」の目の前にあります。カエルが座った形をしていることからその呼び名で親しまれており、今子浦のシンボルです。青い海と黒島を背景にしたかえる島の姿は壮観で愛らしく、観光スポットとして多くの人が立ち寄ります。

―無事の帰還を願って

言い伝えの始まりはその昔、北前船で航海に出た男たちが無事に「帰る」ことを祈願したのが始まりと言われています。今では「なくしたものが…かえる」「人生を…かえる」「若…がえる」など、色々な「かえる」という願いを叶えようと、訪れる人たちは、カエル絵馬に願いを込めて吊るします。

また今子浦は、江戸時代に幕府直轄の港であった「柴山港・柴山御番所」の出張所になっており、北前船の風待ち港として人気がありました。その名残りか、今でも千畳敷には船を留めるための柱を立てた「めぐり」と呼ばれる穴が残っています。

―夕陽に映えるかえる島

現在は観光・レジャースポットとしても人気の今子浦。湾になっているのでうねりが少なく、波も穏やかなためファミリーでも安心して海水浴やスノーケリングを楽しめます。水質も抜群で、透明度が高く岩場には様々な生き物が見られ、子どもたちの磯遊びにも最適です。またかえる島に隣接する「大引きの鼻展望台」は、日本夕陽百選にも選ばれたスポット。断崖、絶壁、遮るもののない景観は圧巻の美しさです。

今子浦一帯は山陰海岸国立公園にも認定されており、千畳敷と呼ばれる平らな岩礁、白い砂浜が隣り合う静かな入江で、沖には白石島と黒島が浮かんでいます。一帯を散策しながら、夕陽にたたずむ「かえる島」に願い事をしてみてはいかがでしょうか。

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■香美町かすみ観光協会
[所]兵庫県美方郡香美町香住区七日市1-7
[問]0796-36-1234
(HP)かえる島
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