但馬CULTURE VOL.72 人と自然が共存する瀞川平(とろかわだいら)


兵庫県香美町村岡区にある高原、瀞川平(とろかわだいら)。県の観光百選第1位にも選ばれたほどの景勝地で、氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の一部でもあります。

―美しい瀞川平

瀞川平は標高680メートル前後のなだらかな高原地帯。渓谷や滝などと相まって、見事な景観美を生み出しています。

県指定天然記念物である和池(わち)の大カツラや兎和野の大カツラ、レンゲツツジの群生地など豊かな自然に囲まれており、チョウやトンボといった虫も数多く生息しています。この貴重な自然を守る活動は現在も脈々と続けられています。

―植物園内は「原始の森」

1997年、高原内に「たじま高原植物園」がオープンしました。面積約17ヘクタールの内10ヘクタールは自然林の植生をそのまま残し、残りの7ヘクタールは自然環境をできるだけ生かしながら管理しています。

南地方植物の北限、北地方植物の南限、高山植物の低限、低地植物の高限で、園内では樹木、草花の自生植物約2,000種類と、それに類する約200種類の植物を見ることができます。園芸種の原種も多く存在する、まさに「原始の森」といえます。

―引き継いできた自然のサイクル

森は清らかな水を育む源です。植物園は、樹齢1,000年以上の和池の大カツラとその根元から湧き出る湧き水「千年水」を守っています。地上に降った雨は土に染み込み、ゆっくりと地下水になります。

その水はやがて湧き水となり、私たちの生活の支えとなります。まさに、原始の時代から繰り返されてきた自然のサイクル。地球の営みを垣間見ることができる場所と言っても過言ではありません。

―その恵は食卓にも

また、この水を使って栽培された村岡米は「全国・米食味分析鑑定コンクール」総合部門で金賞を受賞した経歴もあり、さらに水田環境部門でも金賞を獲得しています。

周辺では縄文時代の住居跡が出土したことも、太古から人々の生活にとって、この水がいかに重要なものだったのかを物語っています。私たちが生活する上で、人と自然がうまく付き合っていくことの大切さを改めて認識させられるスポットです。

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■たじま高原植物園
[所]兵庫県美方郡香美町村岡区和池709
[問]0796-96-1187
(HP)https://tajima-garden.jp/
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