「いらっしゃいませ」。兵庫県新温泉町湯村で4月にオープンした「Cafe 98℃」に、明るい声がひびきます。声の主は店長の西脇明子さんです。
―賑わいを取り戻す
2020年6月、新温泉町の地域おこし協力隊として岡山県から移住した西脇さん。新天地での仕事を考えているとき、耳に入ってきたのが当時オープン計画中の「Cafe 98℃」の存在でした。
カフェが入っている荒湯センターは、湯村温泉の源泉が湧き出す「荒湯」からすぐ、目の前にあります。1階は土産屋、2階はかつて喫茶店が入っていました。喫茶店は地域住民や観光客の集いの場として長く親しまれていましたが、数年前に閉店してしまいました。
―各地から集結したスペシャリスト
憩いの場の復活を求める住民の声もあり、「荒湯に賑わいをとりもどしたい」と考えた新温泉町役場内のおんせん天国室は、運営にかかわってもらえる地域おこし協力隊員を募集しました。白羽の矢が立ったのが岡山県出身の西脇さんをはじめ、大阪府出身の竹中さん、愛知県出身の尾関さん3名です。
製菓衛生師や調理師の資格を持っていたり料理人経験があったり、それぞれが腕に覚えのあるメンバーばかり。
「製菓を学び飲食店の勤務経験もあった私に、うってつけの仕事だと感じたんです」と西脇さん。地場の食材を中心にしたメニューの中、特にスイーツ調理や開発を行っています。
―飲食だけじゃない「Cafe 98℃」
西脇さんが特に気に入っているのは、荒湯で作った荒湯キャラメルをソースに使用したシフォンケーキ。美味しさはもちろん、バリエーション展開が考えやすいのも魅力の1つとか。利用者からのリクエストを受け、お子様ランチなど新しいメニュー開発にも積極的に取り組んでいます。
また「Cafe 98℃」は飲食が楽しめるだけではありません。店内を区切り併設されたスペースはワーケーションの拠点となっています。「ワーケーション」とは、休暇と仕事を掛け合わせた働き方のこと。Wi-Fi環境やコピー機、ロッカー、フリードリンクコーナーなど、フラッと立ち寄っても仕事ができる設備が充実しています。
―笑顔が湧き出る源泉
「ワーケーションは世間の注目が高いからか、新聞やメディアにたくさん取り上げていただきました。それを見た町内の方がすぐに“新聞見たよ”や“頑張ってるね”と声をかけてくれるんです。人との距離の近さに驚きました。応援されてると感じ、励みになっています」と西脇さん。
「“ここに来れば誰かに会える”。そんな場所にしていくため、1人でも多くの方にきて欲しいです」。そう話してくれた顔には、湧き出るような笑顔が溢れていました。西脇さんたちの笑顔に会いに、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
LINK UP 西脇 明子さん
■Cafe 98℃ [所]新温泉町湯1260 荒湯センター2F [休]火、水、木曜(祝日は営業) [時]10〜17時 [問]0796-99-2626 (Instagram)https://www.instagram.com/cafe98degrees/ |