但馬CULTURE VOL.71 但馬の夏の風物詩 ツバメのねぐら入り


夏、夕暮れの円山川。川沿いで一斉に急降下を繰り返す大量のツバメを見かけ、驚いた方もいるのではないでしょうか。夏の風物詩、「ツバメのねぐら入り」です。

―円山川沿いで眠る

太陽がゆっくりと地平線へと沈むころ、薄紫色の空を舞台に「ツバメのねぐら入り」が始まります。

「ねぐら」とは眠る場所のこと。昼間は各地に散っていたツバメが集団で眠るため、申し合わせたかのように一斉に集まってきます。

―荒れ狂うようなツバメたち

特に活発なのは、豊岡市野上から玄武洞にかけての円山川右岸に広がるヨシ原周辺。集まってきたツバメたちは上空を飛び交い何度も旋回します。そしてヨシ原目掛けて急降下を繰り返し、ヨシの茎の先端や葉に止まりねぐらとします。

その光景はまさに圧巻。やがて日がすっかり暮れる頃には、今までの騒がしさが嘘のように静かになります。これらの迫力ある行動は、集団になることで外敵から身を守るためではないかといわれています。他の鳥も同じような行動を取るものもいますが、これだけの大群で集まるのはツバメだけだそうです。

―但馬の夏に別れを告げて

ねぐら入りが見られるのは毎年7月中旬ごろ。春に但馬へとやってきたツバメは軒先などに巣を作り、始めはその近くでそれぞれ夜を過ごします。やがて巣立った若鳥は、ヨシ原で夜だけ集まり寝るようになります。

子育ての終わった親鳥も加わる8月中旬には、その数なんと30,000羽ほどになるとか。豊かな自然が残る円山川ならではの光景といえます。
このねぐら入りは秋ごろまで行われ、体力をつけたツバメから順にはるか2,000km先の暖かい南国へと旅立っていきます。ツバメの旅立ちと共に、但馬の暑い夏も終わりを告げます。

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■円山川
[所]兵庫県豊岡市野上〜玄武洞周辺

 

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