但馬CULTURE VOL.69 兵庫県下最高峰 氷ノ山


兵庫県下の最高峰、氷ノ山。兵庫県養父市と鳥取県八頭郡若桜町との県境にあり、標高1,510mもの高さを誇ります。中国山地の中でも鳥取県の大山に次ぐ高さであり、古くから信仰の対象でもありました。

―兵庫アルプスと呼ばれた山々

氷ノ山は周囲を1,000m級の山々に囲まれており、それほどの高さは感じさせません。それでいて山頂に立つと雄大で、いままで数多くの登山者を魅了してきました。

新温泉町出身で、登山家としても知られる加藤文太郎もその1人でした。周辺の山脈を含め、その堂々たる姿を「兵庫アルプス」と称していたほどです。

―動植物の宝庫

氷ノ山に一般登山者が入山するようになったのは、大正末期といわれています。昭和12年ごろには鉢伏高原と並び、スキー登山のメッカとして最盛期を迎えました。

当時の氷ノ山は自然林におおわれ、まさに動植物の宝庫でした。国指定天然記念物であるイヌワシから小鳥まで共存し、豊かな生態系が保たれています。

―貴重な生態系

頂上からの東側に下った場所には、県指定天然記念物である古生沼があります。氷河期時代のミズゴケ類など、貴重な北方系植物が生き残っています。

また山頂周辺には、アシウスギと呼ばれる古木からなる古千本・千年杉の湿性植物群落があります。こちらも県の天然記念物に指定されており、絶滅の恐れがあるとされている植物が数多く自生しているのが分かります。

―但馬の原風景として

ですがそれら貴重な自然環境も、近年の開発ブームやレジャーの進出などで失われつつあります。現に一部のブナ自然林は、林業効率のよいスギやヒノキの人工植林地に変わってしまいました。

それでも今現在多くの自然が残っているのは、但馬の自然を守ろうとした人々の願いや活動があったからに他なりません。氷ノ山には、自然界のしくみを解き明かす重大な資源が豊富にあります。これからも、その美しい原風景を守っていきましょう。

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■氷ノ山鉢伏観光協会
[所]兵庫県養父市関宮268-1
[問]079-667-3113
(HP)http://hyounosenhatibuse.com/

 

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