但馬CULTURE VOL.65 「出石神社」アメノヒボコ伝説を伝える出石町宮内


但馬開発の祖である「天日槍命(アメノヒボコノミコト)」伝説が伝わる、兵庫県豊岡市出石町宮内。但馬のルーツを伝える古の地を紹介します。

―但馬の国一宮

豊岡市出石町宮内は、「一宮(いっきゅう)さん」の愛称で親しまれる「出石神社」があるまちとして有名です。集落の中心に鎮座する出石神社は、但馬の国一宮としてかけがえのない存在です。

「小学生の頃は、境内で虫取りなどをしてよく遊んだものです」とは、区長の宮下仁史さん。昭和40年に神鍋高原で冬季国体が開催された時には、出石神社で古式にのっとり採火され、炬火(トーチ)リレーが行われました。

―天日槍命伝説

祭神である「天日槍命」は、円山川河口の瀬戸・津居山の岩山を開いて濁流を海に流し、泥海であった豊岡を肥沃な耕地にしたと伝わっています。その伝説から但馬開発の祖として、建設業界からの崇敬も集めています。

天日槍命は『古事記』や『日本書紀』に新羅の王子として記述され、この地が古くから開けていたことが分かります。諸書の記述から奈良時代には有数の大社でした。

―古の大社

「かつての参道は南に面する神社正面の門を出て300メートル先を直角に曲がり、西の方へ延びています。正面をさらさないのは、古い神社ではよくあることです」と、代々宮司を務める長尾家典さんは話します。

西方約700メートルに位置する鳥居地区は、かつて「二の鳥居」があったとされる場所です。その言い伝え通り、昭和8年の出石川改修工事に伴う、旧鳥居橋の橋脚工事中に柱の一部が見つかりました。ここから国道482号を日高方面に進んだ狭間坂(豊岡市出石町片間)に「一の鳥居」が。そして、但馬国府へと続いていたとされます。

―但馬のルーツを伝えるまち

神社の後方には、代々但馬守護職を務め、室町幕府で権勢を奮った武家の名門・山名氏が本拠地とした此隅山城(このすみやまじょう)がそびえています。

但馬のルーツを知る上で重要な場所である宮内区。荘厳な出石神社の社叢からは、古代から続く歴史の重みを感じることができます。

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■但馬國出石観光協会
[所]豊岡市出石町内町104-7
[問]0796-52-4806

(HP)https://www.izushi.co.jp/

 

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