酒造りの最高責任者である杜氏。但馬の厳しい自然環境で育まれた但馬杜氏は日本4大杜氏の1つとして有名です。その但馬杜氏とともに歩んできたのが、兵庫県朝来市山東町にある老舗酒造の「田治米合名会社」です。
―“温故知新”の酒造り
創業1702年。伝統を守りながら酒造りを続ける同社は、2017年から全商品を純米酒にしました。純米酒とは、醸造アルコールを使用せずに米と米麹と水だけで作る日本酒のこと。日本古来の手法で、繊細な管理と手間が必要になります。
「昔ながらの酒造りは“温故知新”にも通じます」とは、代表の田治米博貴さん。使用する水は敷地内の井戸から汲み上げた、朝来の山々が蓄えた地下水です。米は98%但馬産で、梅酒の梅も兵庫県産。可能な限り地域で取れた素材を使うこだわりは、但馬の田畑を強くして地下水を守り、酒造りへと循環されていくという強い思いから生まれたものでした。
―海外でも高まる日本酒人気
また、同社のこだわりの一つは“食中酒”であること。特に創業当時から愛されている銘酒『竹泉』シリーズは食事に合う酒として人気です。日本酒人気が高まる海外でも多くのファンを惹きつけています。
その実力は、2017年6月にフランスのパリで初めて開かれた日本酒品評会でも発揮されました。純米部門と純米大吟醸部門の2部門で、それぞれ金賞を受賞したのです。蔵で2年以上熟成させた味わいは、まろやかで洗練されていると高い評価を得ています。
―食とのマリアージュ
「フランスの“食のマリアージュ(組み合わせ)文化”に、弊社の“食中酒”という理念が通じ、手応えを感じました」という田治米さん。
香港・イタリアなど海外にも日本酒『竹泉』の輪が広がります。海外まで視察に赴き、製品の状態をチェックします。「口に入るまでが酒造りですから」と、品質管理に一切の妥協はありません。
―味と笑顔を引き出すお酒を
「ひと口で満足してしまう酒よりも、料理の味を引き出す酒を。そして明日も飲みたくなる酒を作りたい」。その田治米さんの強い想いは、「料理の本当の味がわかるようになった」という客の喜びの声とともに、今日も食卓の笑顔を引き出しています。
LINK UP 地域と調和する酒造り
■田治米合名会社 [所]朝来市山東町矢名瀬町545 [問]079-676-2033 (HP)http://www.chikusen-1702.com/ |