但馬CULTURE VOL.57 海と共に生きる 香美町香住区


海とともに生きる漁業の町、香美町香住区。海へと続く路地には漁師町の風情が残ります。往時の様子をたどりながら、海辺散策はいかがでしょうか。

―海のまち香住

「香住」と言えば、言わずと知れた漁師町。冬場の松葉ガニを始め、イカ、カレイ、ハタハタ、ニギスなど、1年中多彩な魚介類が水揚げされます。近畿で唯一水揚げされる紅ズワイガニは、「香住ガニ」と銘打ってブランド化され、新たな地場産品として人気が高まっています。

縄文前期までは、内陸の谷まで海が入り込んでいた香住区。縄文中期以降に平野が形成されて人の営みが始まったことが、町内の月岡下遺跡の発掘調査により分かりました。古地図では、現在の香住谷川は矢田川の本流だったとされています。海辺の砂浜には「千本松原」と呼ばれる松林が広がっていたそうです。

―最盛期の輝き

昭和4年(1929)に、漁協の組合長を務めた長父子の尽力により、大型漁船を係留するための港湾整備が行われると、香住は近代的な港として一気に漁業が花開きました。特に最盛期であった昭和38年から昭和53年にかけては、景気のよさを伝える話しが残っています。

魚が豊富に獲れ、「香住駅へとサバを運ぶリヤカーの列ができた」や、「貨物列車が雪で運休になると、駅の上屋にカニが山積みにされて無料配布された」など、豪快なエピソードには事欠きません。煌々と光るイカ釣り船の漁火を見て、出張中の会社員がタクシー運転手に「あの繁華街まで行ってくれ」と頼んだという笑い話もあります。

―漁師町の面影を残す路地裏

時代の変化により漁業を取り巻く環境は厳しいですが、今でも海岸沿いには加工屋さんが軒を連ね、魚を知り尽くした海の職人たちが美味しい香住の魚を届けています。

路地に入ると、漁師町特有の焼き板塀の家々が残る香住の町。「海の香りが住む町」をのんびり散策してみてください。

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■香美町香住観光協会
[所]美方郡香美町香住区七日市404-1
[問]0796-36-1234
(HP)http://kasumi-kanko.com/

 

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