但馬PLACE VOL.17 玄武洞ミュージアム


約160万年前の火山活動を現代に伝える、兵庫県豊岡市にある国指定の天然記念物「玄武洞」。そんな玄武洞をテーマにした石の博物館「玄武洞ミュージアム」が、2018年にリニューアルオープンしました。

― 奇岩の名所 玄武洞

国指定の天然記念物である玄武洞公園。石でできた階段を登ると、六角形の柱状節理が雄大に積み上がる玄武洞が視界に飛び込んできます。玄武洞は「玄武岩」という岩石の名前の由来となり、南を向く磁性が世界で最初に発見された貴重な場所。地球の神秘に触れるパワースポットといっても過言ではありません。

「そんな貴重な玄武洞をもっと皆さんに知ってほしい。それが博物館を作るきっかけでした」
そう語るのは、館長である田中榮一さん。幼い頃から玄武洞に魅せられ、1972年に同ミュージアムの元となる「玄武洞資料館」をオープンさせ、現在まで様々な鉱物・化石を収集し展示してきました。

― 大地を模した外観

新しく建てられた建物の外壁には、ジオパークをイメージした茶色をベースに地層のような模様が入っています。玄武洞で見られる柱状節理のような六角形が5つ並ぶ建物で、その並びは玄武洞公園にある5つの洞と同じです。施設内にはレストランやミュージアムショップも整備され、玄武岩をモチーフにした豊岡市のゆるキャラ「玄さん」のグッズも揃っています。

― 大迫力の化石たち

ミュージアムの入口をくぐると、大きなゾウの化石が出迎えてくれました。
「この化石はステゴドンといって、山陰海岸で足跡化石が発見されたアジアゾウの仲間なんですよ」と学芸員の中嶋灯奈さん。
「山陰海岸ジオパークは、日本列島が大陸から離れた時の動きが残されている場所だというところに注目してほしい」と、新たに加えた目玉展示の1つです。全長7.6mもの巨体を足元から仰ぐと、そのスケールに圧倒されます。

2階では、宝石・鉱物のコレクションや化石を見ることができます。鉱物ゾーンでは鉱物が生まれた環境や、同じ鉱物でも生まれる時の状況によって姿・形・色がさまざまであることが展示されています。また化石ゾーンでは生物が進化した道のりが分かるようになっており、一周すれば地球の歴史・生命の歴史を知ることができます。
「当ミュージアムは、今まで日本では見たことがなかった珍しい石のコレクションを多数展示しています。自然の生み出したさまざまな石から地球の動きがよく分かる、驚きと発見に満ちた博物館です」と、田中さんと中嶋さんは胸を張ります。

― 地質が育む伝統

展示ルートを進むと、豊岡の伝統的工芸品である杞柳細工ゾーンにたどり着きます。中嶋さんは「コウノトリや、豊岡かばんの町として発展する由来となった杞柳細工は、円山川の生んだ地質に育まれました。地球の歴史は地域の文化に続いているんですよ」と教えてくれました。

鉄琴のように澄んだ音を出す「カンカン石の楽器」や、ずっしりと重い「黄鉄鉱」。他にも曲がる石や光る石など、触れることができる展示が多い玄武洞ミュージアム。石のペンダント製作体験やかご編み体験も行っており、さまざまな角度から石の不思議や「ジオ」を通じた文化を体感できます。子供から大人まで楽しめる場所として、これからも地球の魅力を伝え続けていきます。

LINK UP 玄武洞ミュージアム

■玄武洞ミュージアム
[所]兵庫県豊岡市赤石1362番地
[問]0796-23-3821
[時]9:00〜17:00
[料金]中学生以上 800円、小学生以上400円、幼児300円
年間パス有り
(HP)http://genbudo-museum.jp/

 

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