豊岡市城崎温泉に伝わる伝統工芸細工「麦わら細工」。その鮮やかな色彩と微妙な光沢は、他に類を見ない伝統的工芸品として高く評価されています。山陰の名湯と名高い城崎温泉で、300年近くの歴史をもつ匠の技に触れてはいかがでしょうか。
― 歴史ある伝統工芸として
兵庫県豊岡市にある、多くの文人墨客に愛された山陰の名湯・城崎温泉。「日本一ゆかたの似合うまち」とされ、普段とは違った特別な時間を過ごすことができます。
そんな城崎温泉に伝統工芸細工として伝わるのが、鮮やかに彩色した麦を貼り合わせて絵柄を作る「麦わら細工」。江戸中期に鳥取県からきた半七という職人が、宿料の足しにするために竹笛やコマなどに色麦わらを貼って売ったのが始まりといわれており、その色彩と絶妙な光沢は、他に類を見ない伝統的工芸品として高く評価されています。
― 手軽に体験
細かい手作業により美しい模様を作り出す麦わら細工ですが、大麦のさやを色染めしてストロー状のものを編み込む「編組物」、さやを切り開き花鳥などの模様を桐箱にはっていく「模様物」、そして幾何学模様にはっていく「小筋物」に分けられます。それらを楽しむことができるのが「城崎麦わら細工伝承館」。白壁の土蔵をそのまま生かした建物の中には、現在の職人の作品約40のほか、明治・大正・昭和初期などの作品約200点が展示されています。
また同館では麦わら細工を体験できるコーナーがあります。作ることができるのは、はがき・うちわ・キーホルダーなど。絵柄を選んだら接着剤を麦わらに付けて張っていきます。単純作業ですが、麦わらは繊細なので大事に扱うことがポイント。仕上げに竹筒でこすると、絹のような手触りと上質な自然のつやが生み出されます。制作物や個人差もありますが、所要時間は約15〜30分と、手軽に伝統工芸に触れることができます。
―それぞれ違う麦わら細工
すべてが手作業で作られる麦わら細工は、同じ絵柄でも仕上がりが違います。温泉を楽しんだ後は、世界でひとつだけの作品をお土産にしてみてはいかがでしょうか。
LINK UP 城崎温泉で麦わら細工に触れる
■城崎麦わら細工伝承館 [所]兵庫県豊岡市城崎町湯島376-1 [問]0796-32-0515 (HP)http://www.kinosaki-spa.gr.jp/information/info/mugiwara.html |