但馬PLACE VOL.12 地域を活かすシェアハウス193(イグミ)


迷路のように入り組んだ路地に家屋が並ぶ、新温泉町の漁村、居組(いぐみ)。時が止まったような独特の風情を醸し出すこの町で、移住者と地域を結ぶ漁村暮らし体験住宅『シェアハウス193(いぐみ)』がスタートしました。町内外を問わず多数の協力者に支えられているこの家は、移住者のためだけの場所ではありません。

― 路地と坂道の間に

「入り組んだ土地」が地名の由来ともいわれる、新温泉町にある居組(いぐみ)は、兵庫県と鳥取県の県境にある集落です。古くから天然の良港として発展してきた漁業の町で、江戸時代には北前船の風待ち港としても重用されました。そんな歴史ある居組港に面した大通りから細い路地に入ると、6月にオープンしたばかりの『シェアハウス193(いぐみ)』にたどり着きます。

― 様々なニーズに応えられる家

シェアハウスと名がついていますが、ここは若者の移住促進のほか、地域のさまざまな交流の拠点でもあります。和室5室と台所があり、1階には住民らも集えるリビングルームなどが。2階の2室は若い移住希望者を受け入れる予定の住居スペースとなっています。Wi-Fiはもちろんキッチン、ホームシアターなども完備。さらにはサテライトオフィスや共同農園なども兼ね、幅広いニーズに応えられる多機能交流拠点になりました。

建物は築47年の木造2階建の住宅を地域の若者たちがリノベーションしました。コンセプトは「レトロかわいい」。空き家バンクに登録されていた家屋に付属していた食器やハンガーを一部使用することで、古民家の風情を活かしています。古くなった壁や家具は有志のメンバーやDIYイベントの参加者が中心となり、新しく塗り替えました。

― 地域をもっと楽しもう

気軽に若者が集える場所が必要だと感じたことが、この複合的なシェアハウス構想のきっかけだと、193(いぐみ)を運営するNPO法人「あっと但馬」の理事長である岡坂さんは話します。自分が大好きな但馬のために何かしたいという想いを抱き、東京の大学を卒業後、地元にUターンした岡坂さん。「あっと但馬」で地域に根ざした活動をしているうちに、新温泉町の商工会から「移住拠点としてシェアハウスを作ってほしい」との提案がありました。

このシェアハウスで地域の若者と移住者を繋げるのには、ある狙いがあります。それは住民では気づきにくい地域の魅力を、外部の視点を通して客観的に知るということです。岡坂さんは「新温泉町には温泉やホタルイカなどの資源もあり麒麟獅子といった伝統もある。ほかにも、知らないだけで地域にはたくさんの楽しみがあるので、みんなでもっと面白くしていきたい」と前向きです。

― キーワードは「ゆるく繋がる」

現在193(いぐみ)では、毎月第4火曜日の夜に地域に関したイベントを行っています。その内容は、町長選挙の候補者の比較から町内4社で作られている特産の浜坂ちくわの食べ比べまで、ユーモアとバラエティに富んでいます。一度だけの参加も大歓迎で、新しい友人も作りやすく、気負わずゆるく集うイベントにしたいと岡坂さん。地域おこし協力隊や移住の先輩など様々なメンバーが参加しています。

高校生の時から参加している中心メンバーの一人は「自分たちで考えた新しいことに自由にチャレンジできて楽しいです」と、充実感にみなぎっています。参加者たちの反応はいずれも良く、思い出とともに黒板に描き残されたイラストからは、その楽しさが伝わってきます。

利用に関するお問い合わせやイベント情報は、フェイスブックなどのSNSからアクセスできます。やりたいことがなんでもできる、外につながる家がここにあります。

LINK UP 地域を活かすシェアハウス193(イグミ)

■【漁村暮らし体験住宅】シェアハウス193
[所]兵庫県美方郡新温泉町居組475
[問]
電話:080-6104-1865 メール:sharehouse193@gmail.com
(FB)https://www.facebook.com/sharehouse193/
(Twitter)https://twitter.com/sharehouse193
(I
nstagram)https://www.instagram.com/sharehouse193/

PICKUP