晩秋の早朝に見られる幻想的な霧の海「雲海」。自然の水墨画とも評されるこの景色を作り出す、但馬気候風土に隠された秘密を探ります。
― 自然の水墨画を求めて
「雲海」とは、放射冷却によって発生した霧や雲が、周囲の山々がまるで海に浮かぶ島々のように見えることから名付けられました。9月から11月は霧が発生しやすく、特に豊岡盆地では霧が2日に1回発生する全国有数の霧のまちとなります。この時期但馬の山頂付近では、足元一面を白一色に閉じ込める絶景を求め、早朝から多くの観光客で賑わいます。多くの人々を魅了する雲海。この3ヶ月の間は、天気のよい日であれば高確率で雲海に出会うことができます。
― 河川と盆地が作り出す芸術
雲海発生のメカニズムに大きく関わっているのが、眼下を流れる円山川です。円山川から立ちのぼる水蒸気が、深夜から早朝の冷え込みで一気に冷やされ、それが豊岡盆地全体を包み込み、雲海を作り出しています。
またその地形も重要な役割をになっています。明治から大正にかけての文学者・大町桂月は、円山川は平らであり、河川というより江であると表現しました。桂月の言うように、円山川は城崎町楽々浦付近で、1千メートルの最大幅を示す広大な川です。このほとんど高低差のない広い川が大量の川霧を発生させることにより、幻想的な風景を生み出しているのです。
― オススメ絶景スポット 円山川を眼下にのぞむ “来日岳”
城崎温泉の南西にある山陰海岸国立公園内で最高峰の標高567メートルを誇る来日岳。山頂からは大岡山、蘇武岳、遠くには氷ノ山をのぞみ、眼下には豊岡盆地、円山川、日本海の絶景が展開します。来日岳登山道は「大師山山頂から登るコース」、「城崎町内から円山川沿に少し上った来日地区から登るコース」があります。来日側からは車でも可能です(冬期は雪のため危険)
― オススメ絶景スポット 天空の城 “竹田城跡”
雲海に浮かび上がる朝来市和田山町の竹田城跡。「天空の城」と呼ぶにふさわしい光景は、訪れる人を魅了してやみません。晩秋の雲海シーズンには、その幻想的な雰囲気を心に刻もうと全国各地から人々が訪れます。雲海に浮かぶ竹田城跡を見るなら、向かいの立雲峡からの眺めがおすすめです。
LINK UP 来日岳
■来日岳 [所]兵庫県豊岡市城崎町来日 [問]城崎温泉観光協会 0796-32-3663 |
LINK UP 竹田城跡
■竹田城跡 [所]兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169番地 [問]情報館 天空の城 079-674-2120 [料]大人(高校生以上)500円 (HP)http://www.city.asago.hyogo.jp/takeda/index.html |