「天空の城」として今や全国区となった朝来市の「竹田城跡」。国史跡になっている日本屈指の山城遺構は、見る者を圧倒します。秋が深まるにつれて雲海に浮かび上がる景色が人々を魅了する「竹田城跡」。今回はベテランガイドさんにひと味違う魅力を教えてもらいました。
― 雄大な山城の機能美を見る
「竹田城跡は山の地形を利用し、防御の機能を生かした造りとなっています。戦国期の山城の美しさを感じてほしいですね」とは、笑顔の素敵な和田山観光ボランティアガイドの上山さん。石垣の積み方ひとつをとっても意味があり、ただ見るだけでなく、歴史的背景や遺構の持つ意味を知ることで、竹田城跡の深みと魅力が一層広がると言います。
まず最初に城跡を訪れると感じるのが「歩きにくさ」。段差の高い階段や、鍵型に折れる石垣、とても歩きにくいと感じる人も多いはずです。でもそれが「山城」!元々、城は「敵から攻められにくい」ように造ってあるもの。城としての機能を意識しすれば、歩くのも面白くなります。また、足元に注目して歩くと、ただの石だと思う遺物も、実は築城当時の瓦の破片が頭をのぞかせています。
― 敵から守る仕掛けもいっぱい
竹田城跡には山城ならではの敵から身を守る仕掛けがいっぱい。まずは石垣に注目!!石垣の積み方は織田信長の居城・安土城と同じ技法で、滋賀県の穴太(あのう)衆によるもの。「穴太流野面(のづら)積み」と呼ばれ、自然石をほとんど加工せずに積んであります。
石垣の石の隙間には、置かれているだけのような動く石が配置されています。これはよじ登ろうとしてくる敵から守るために作られたもの。この石をガシッとつかんでも、外れるようになっています。裾がゆるやかで上に行くほど垂直になる石垣の美しい縦のラインも、「武者返し」と呼ばれ、敵がよじ登りにくくなっています。
また、凹型になった「横矢掛り」と言われる石垣の造りは、侵攻してくる敵に対して側面からも攻撃できるようになっています。竹田城跡にはこのような遺構がいくつも残っており、山城の美しさを構成する大きな要素となっています。
― 竹田城跡のおすすめ雲海スポット
雲海は竹田城下を流れる円山川の霧によって発生します。運良く絶好の雲海に出会うためには、いくつかの条件が必要です。まず良く晴れた日で、昼間と夜の温度差が激しいこと。昼間に暖められた空気が夜に冷やされて、川霧が発生します。例年、10〜11月頃(明け方から7時頃まで)が昼夜の温度差が激しく、美しい雲海に出会えることが多いです。
雲海スポットの一番は何と言っても城跡からの展望。360度の大パノラマに広がる雲の海は、まるで自分が天上に上ったような錯覚を覚えます。石垣とともに空に浮かんでいるようで、まさに天空の城にふさわしい光景を見ることができます。
また、竹田城跡の西側にある「藤和峠」も隠れた写真スポットです。山々が連なった先に城跡が見え、水墨画のようなひと味違った竹田城跡を観賞できます。
LINK UP 竹田城跡
■和田山観光ボランティアガイド [所]兵庫県朝来市和田山町竹田363(たけだ城下町交流館内) [問]情報館天空の城 079-674-2120(9〜17時/年末年始) [料]2,000円〜3,000円(1週間前までに要予約) [申込方法]情報館天空の城にFAXで、1週間前までにお申込み/詳細は下記webサイトから (HP)http://wadayama.jp/takedajyoseki |