平成24年3月に閉館した「豊岡劇場」が奇跡の復活。映画上映だけではない、映画館を利用した新しい「場」として生まれ変わりました。新しいなにかに出会える場所。そんな住民に愛される文化遺産「豊劇」をご紹介します。
― 大衆文化のシンボルが奇跡の復活!
兵庫県北部(但馬地域)に残る唯一の映画館であった豊岡市の豊岡劇場。昭和2年に芝居小屋として始まり、社交ダンスの場、戦後は映画館として、地域住民に愛される大衆文化の場でした。しかし、時代の波には逆らえず閉館となったのは、平成24年3月末のこと。また一つ但馬から貴重な文化遺産がなくなってしまうことになりました。
「豊劇」という愛称で親しまれた地域住民の想い出の場所。「もう一度、但馬に文化の拠点を作りあげたい」と立ち上がったのが、石橋秀彦さん(石橋設計代表)と奥さんの未来子さんを中心とした「豊劇新生プロジェクト」のメンバーです。
「若い人が帰ってきたくなる、いろいろな人が集まる場所にしよう」。人口減少が続く地方都市であるがゆえ、映画館の運営だけでは困難だと判断。大衆文化のシンボルであった「豊岡劇場」をリノベーションし、映画上映だけではない、映画館を応用した新しい「場」をつくることに決めました。クラウドファンディングを通じて資金を募ると、「豊劇」を愛する100人を超える支援が続々と集まります。そして、閉館から2年後の平成26年12月、「豊劇」は再び、新しい価値をまとって住民の元へ帰ってきました。
― CINEMA + ACTION = C INEMACTION
新しく生まれ変わった新生「豊劇」が目指すものは、家や職場以外の第3の居場所づくり。この地域で暮らすことを楽しむ場所をつくることです。また、クリエイターや作家の育成にも力を注ぎ、但馬地域での文化の担い手を後押しすることも積極的に行っています。
「フリーダム the 自由」と豊劇を表現するのは、豊劇新生プロジェクトのリーダーを務める伊木翔さん。基本的には何をやっても自由。映画館なのに「ライブ」ができる。映画館なのに「ダンス」ができる。映画館なのに「BAR」がある。会議の打ち合わせに使ってもOK。映画上映だけではない、映画館を利用した新しい「場」を提供しています。
大ホールは引き続き映画館として運営され、週末などにはイベントを開催。小ホールは、主にコミュニティやクリエーターの集まる場所として活用されています。ロビーにはCAFE & BAR「ajito」が営業。これは仕事が終わってからも人が集える出会いの場所が必要との思いから。まさにアジト的な空間として多彩な人たちが訪れています。
― 新しい何かに出会える場所へ
奇跡の再オープンから半年。新しい「場」を創出してきた豊劇では早くもいろいろな化学変化が起こっています。子どもたちに向けてのワークショップやクラブイベント、ムービーコンテストなど、映画館の枠にはとらわれない形で人の輪が広がっています。中にはロビーでウクレレを弾くおじさんもいて、そこにまた人が集まる。「豊劇にくれば、面白いヒトやコトに出会える!」。まさにコミュニティ拠点として機能しています。
また、最近ではIターンした移住者や豊岡に出張中の人がふらっと来てくれたりと、豊劇を知らない人も訪れるようになったそうです。「但馬内外の人をミックスして新しいことを起こしたい」と、伊木さん。今後は屋内駐車場に店舗テナントを設ける予定とのこと。楽しいこと、ワクワクすることを探しにぜひ豊劇へ訪れてみてはいかがですか。
LINK UP CINEMACTION豊劇 -豊岡劇場
■CINEMACTION豊劇 -豊岡劇場 [所]兵庫県豊岡市元町10-18 [時]10〜23時30分(映画のスケジュールはホームページで) [休]月曜日 [問]0796-34-6256 (HP)http://toyogeki.jp/ (FB)https://www.facebook.com/toyogeki |