但馬STYLE VOL.2 田中 今子さん《養父市》


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「まちをアートで楽しく」。芸術家が集うまちとして知られる養父市大屋町では、「アート」でまちづくりを行っています。NPO法人おおやアート村の理事長を務める田中今子さんも、大屋の町に惚れ込み、移り住んだ芸術家の一人。「アート」をテーマにした新しいまちづくりに汗を流す田中さんのお話です。

― 芸術が集うまち「おおや」。「おおやアート村」って?

 「どんな時代がきても、芸術ってなくならないものだと思うんですよ。芸術には人の心を癒したり、楽しくさせたりする力があります。無心になれるところが魅力ですね」とは、NPO法人おおやアート村の理事長を務める田中今子さん。自然の大切さを謳う作品を発表し続ける現役の絵画作家で、彼女もまた、大屋の素朴な自然に魅せられてIターンしてきた芸術家のひとりです。

 「豊かな自然があることはもちろんですが、幹線道路が通らない大屋って、異空間の場所という感じがします。創作活動に没頭する場所としては最適ですね。そうした環境が芸術家の輪をつないでいったと思います」と、田中さんは大屋の魅力を話します。

 多彩な芸術家、10数年続くアートイベント、公募展による木彫作品の収蔵は100点に達した。市民が地道に積み上げてきた町の宝を、このまま眠らせておくのはもったいない。そんな気持ちが誰いうとなく、沸々とわき上がり、「芸術をテーマにした町おこし」を考える「おおやアート村協議会」が平成22年に発足。いつでも気軽に楽しく芸術にふれあい、体感し、人との交流が増えることをコンセプトに、芸術家だけではなく、みんなでアート村をつくり育てていくことを掲げた「おおやアート村構想」をまとめました。

おおやアート村が目指すものは、
1、暮らしとアートが融和して、元気で、楽しいまちをつくること。
2、未来をつくる子どもたちにアートの楽しさや可能性を伝えること。
3、アートを取り入れたツーリズムの創造や芸術家の移住などを促進し、都市と農村との交流を盛んにし、にぎわうまちをつくること。
4、大屋の豊かな自然資源や農林産物などの資源を見直し、さらに価値のある資源として活用すること の4点。

 いつでも気軽に楽しく芸術にふれあい、体感し、人との交流が増えることをコンセプトに据え、芸術家だけではなく、みんなでアート村をつくり育てていくことを掲げています。

 「一部の芸術家だけの施設をつくっても、町にとっては使えない場所です。大屋なら暮らしとアートがうちとける土台がもうすでにできあがっています。アートをきっかけとして、みんなで町を元気にしたいですね」と田中さんは言います。

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― 廃校を活動拠点に!BIG LABO(ビッグラボ)がオープン

 但馬でも例のない挑戦として動き始めた「おおやアート村構想」。平成24年4月、その拠点として、廃校となった八鹿高校大屋分校を活用して「おおやアート村 BIG LABO(ビッグラボ)」がオープン。さらに、アートを中心に据えた町づくりを持続的に行えるよう、NPO法人を設立。平成25年1月、田中さんはNPO法人おおやアート村の初代理事長に就任しました。

 「BIG LABO(ビッグラボ)」では作品展示、作家の工房、貸しギャラリーなどの芸術文化事業の他に、子どもたちの遊び場としてマンガ図書室や子ども工作室の提供など幅広く市民に開放されています。

 「最近は学校教育で芸術とふれあえる時間が減っているそうです。芸術は人が何かを考えるきっかけを与えてくれるといわれています。ぜひ、たくさんの子どもたちに芸術を感じてほしい」と、田中さん。「LABO(ラボ)」とは実験室という意味で、「この巨大な実験室から次世代につながる何かがつくられてほしい」という願いが込められています。

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 現在、ビッグラボでは「絵画」「染織」「さをり織」「木彫・木工」「書道」「陶芸」など幅広いジャンルのワークショップを開催しています。それぞれの教室に専門のアーティストが先生として丁寧に教えてくれます。

 さらに、今年(平成27年)5月には、おおやアート村内に手作りパン&カフェ「cabo 7 cafe(カボナナカフェ)」をオープン!田中さんと地元でパン教室を主宰するパン職人・森本淳子さんが共同経営し、設立以来のテーマであった「アート」と「食」「農」のコラボがカタチとなって実現しました。

 新しいまちづくりの挑戦として、着実な一歩を踏み出している「おおやアート村」。芸術が生み出す安らぎ、温かさ、個性が、住民同士の心に新しい化学変化を生み出しています。

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LINK UP 田中 今子

■おおやアート村BIG LABO(ビッグラボ)
[所]兵庫県養父市大屋町加保7
[時]展示場9〜17時 創作棟9〜22時※要問い合わせ
[休]水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28〜1/3)
[料]展示場観覧料300円 ※ワークショップ体験料は別途必要
[問]079-669-2449

(HP)http://biglabo.info/biglabo3/
(FB)https://ja-jp.facebook.com/ooyartmura

 

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