但馬STYLE VOL.41 ブンダバー《新温泉町》


ブンダバーとは、ドイツ語で「素晴らしい」という意味で、主に兵庫県北部・但馬地域の子どもたちに向け活動を行っている自然体験団体です。

実際に自分たちで実験したり、見て触れて発見した体験は感動もひとしお。活動の一つである「大自然の科学教室」では「なぜだろう?」と思ったことを科学の力で解き明かしています。

―ブンダバー の体験教室へようこそ!

ブンダバー は2021年秋に発足。代表の松岡千都 (ちと)さんをはじめ、「地域の子どもたちに様々な体験の機会を!」という思いをもったメンバーで運営。メンバ ーだけでなく、昆虫や科学教育に精通していたり、地域で保全活動などを行っている外部の方々とも協力し、体験教室の場を作っています。

主な活動には落ち葉アートや昆虫観察等を行う「自然体験教室」があり、他にも自然の謎を科学で解き明かす「大自然の科学教室」といったイベントを開催しています。

同団体の活動では自然体験だけでなく、科学教育をイベントの中に取り入れることで、 子どもたちの豊かな知的好奇心を育んでいます。

各体験教室では、どんな体験ができるのでしょう。

「今年度(2023年)の自然体験教室で行っているハゼ釣り体験は、自分たちで釣ったハゼを天ぷらにして食べるという楽しい体験です。ただ、最近の釣りブームで、川や海に釣りの用具であるルア ーや糸が放置されていることも多くあります。今回は釣りのマナーや釣り糸を収納する道具も紹介し、持続可能な釣りを皆が楽しめるような企画をしました」と教えてくれた松岡さん。

2022年度に行った「大自然の科学教室」では、海水でとうふを作る体験や大きなドラム缶を凹ませる大気圧大実験、光の三原色で彩るイルミネ ー ション体験のほか全12回の年間プログラムを用意したそうです。

いろいろなイベントを開催している同団体ですが、2023年度は初めての試みとして 「大自然のサイエンスキャンプ」の実施にも挑戦しました。

―「大自然のサイエンスキャンプ」とは

「サイエンスキャンプは、日帰りだった『大自然の科学教室』を1泊2日にし、親元を離れじっくり取り組み、楽しもうという企画です。この企画は朝食作りから科学実験なんですよ!ほかにも科学の原理を用いて砂浜のマイクロプラスチックを取り除いたり、夜の砂浜で炎色反応のファイヤーショーを行いました」

講師には兵庫県尼崎市で長年小学生の理科教育に携わっていた中田真 一先生を招き開催。キャンプでは芸術文化観光専門職大学の学生さんともコラボして、子どもたちと体で表現するジェスチャー遊びにも挑戦したそう。

「『大人になってもずっと記憶に残り続ける体験になりました!ありがとうございました』と親御さんからメッセージをいただいて、とても嬉しかったです。初の試みでしたが、参加者の皆様には大変好評でしたし、『来年はぜひ参加したい!』という声もいただいているので、またできたらいいなと思っています」という松岡さん。

今後も「科学教室だから、科学だけ!」ではなく、アートとサイエンスを融合させた楽しい企画をしたいと考えているそうです。

―体験教室をはじめたきっかけ

松岡さんが自然体験活動をするようになったのは、この地域の自然をもっと地元の子どもたちに知ってもらいたいという思いから始まりました。

もともと東京出身で、結婚を機に新温泉町へ移住。
「東京にいた頃は周囲に田んぼはなく、アマガエルを見ることすら出来なかった」という生活から一転。四季を通じで昆虫や鳥、海に入れば色とりどりの ウミウシなど、様々な生き物と出会える同町の環境に、感動の連続だったといいます。

「こんなに素敵な自然がいっぱいあるのに地域の子ども達に聞くと『海に入ったことがない』や『あまり外で遊ばない』という子がおり、そこまで自然に触れていないのかなと感じました。

今は共働きの家庭も増え、学校でも昔と比べ教えなければならないカリキュラムも多様化しています。家庭や学校で時間をとって自然体験をするのも難しい現状があります。

また、但馬や鳥取には展示以外にも科学を体感できる総合科学館がないため、この地域の子どもたちは科学に出会える機会が都市部の子どもたちと比較して少ないです」

松岡さんはこのことに「こんなに豊かな自然環境があるのに、すごくもったいない」と感じ事業を立ち上げ、体験教室を始めたそう。

―この地域の自然のためにできること

「ブンダバーの自然体験を通じて『楽しいなぁ』と思ったあとに、 『この自然がもっと続いたらいいなぁ』と 感じてくれたり、大人になった時に、この豊かな自然を思い出してくれる子が増えたらと思って活動しています」という松岡さんは、なるべくこの地域の自然と共存した上で、持続可能な体験教室を行う事を大切にしています。

例年5~10月の間に行っている「ウミホタル観察会」もその一つです。大学生時代にウミホタルの寄生虫について研究していた松岡さん自身がガイドを担当しています。

「例えばウミホタルは幻想的な青い光を放ち、とても美しい生き物です。その様子があまりにも綺麗なので、地域によっては砂浜にウミホタルを撒いて観察会をしているところもあります。写真に撮ると、砂浜一面がキラキラと輝いてとても素敵なんですよ。ただ、ウミホタルは海の生物なので、砂浜に撒いてしまうと死んでしまうんです。なのでブンダバーの体験では 、水を入れたバケツの中で発光を観察した後はきちんと海に返しています」と松岡さんは話します。

「それでも多少なりとも自然を害してしまうかもしれませんが」と付け加えつつ、子どもたちが生き物や海の環境について考えるには、実際に体験することが大切だという考えから、日々試行錯誤しながら企画を作っているそうです。

ネットや動画では得られない体験を

「イベントでは付き添いに来ている親御さんもいつの間にか楽しんでくれていますね。なので親も子どもも楽しめる体験教室だと思います」と笑う松岡さんのもとには、体験教室を手伝う中で、次は企画から携わりたいと申し出てくれる学生や社会人も現れ始めています。

「楽しい」「綺麗だね」だけで終わるのではなく、「なぜそうなのか」。
それを科学的な視点を持って見ていくと、目の前に広がる景色はより面白くなるかもしれません。

同団体の行う教室では驚き、発見、感動の体験を通じて、いろいろな感情にさせてくれる瞬間がたくさんあります。なんだかワクワクしてきませんか。

気になる活動内容や体験教室の予約はHPにて。
SNSにはこれまでの体験教室の様子が動画で紹介され、視聴も可能です。
また過去のイベントの詳細は、ブログに掲載されています。
ぜひ、興味を持った体験教室があれば遊びに行ってみてください!

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