但馬STYLE VOL.45 ナインナイン・アウンさん《新温泉町》


浜辺に光るシーグラスを主とし、様々なモチーフを組み合わせて作るシーグラスアクセサリー。趣味ではじめたアクセサリーづくりを通じてミャンマーの平和に貢献したいと奮闘しているのは、兵庫県美方郡新温泉町在住のナインナイン・アウンさんです。

新温泉町で小中学生向けに英会話を教えながら、時にはミャンマー料理やミャンマーの衣装など母国文化の体験ワークショップを企画したり、シーグラスアクセサリー作家「Kokoro Sea Glass Accessory」として活動しています。

―シーグラスとの出会い

シーグラスとは、海辺に流れ着いたガラス片のことです。ガラス瓶などのかけらが、波や石などとぶつかることで角が丸くなり浜に流れ着きます。

「シーグラスは、数年から長くて100年近くもの間、波にうたれ続けることで、最後には美しいかけらになります。そのかけらを使ったアクセサリーは、今度はみんなに大切にされるものに変わります」と語るナインナインさん。

結婚を機に新温泉町に移住してきてしばらくした頃、浜辺にきらきらと輝くシーグラスと出会ったそうです。

「ミャンマーでは、浜辺でシーグラスは見たことがありませんでした。知り合いに『シーグラスを使っていろいろできるよ』と教えてもらったことがきっかけで、作品を作るようになったんです」。

はじめはワイヤーとシーグラスを使ったオブジェをつくっていたというナインナインさん。ある日、アクセサリーのほうが向いているかもと試しに作ってみたら楽しく、シーグラスアクセサリー作品を作るようになりました。

―ひとつひとつが思い入れのある作品

ナインナインさんの手掛ける「Kokoro Sea Glass Accessory」の「Kokoro」は、「心をこめる、気持ちを込める」という意味と、その文字自体が気に入って活動名にもつけられているそうです。

アクセサリーはシーグラスや陶器片の表面に、1mmほどの穴をあける作業を繰り返したのち、星や月、魚など様々なモチーフをつなぎ合わせ形にしていきます。

「ピアスやブックマーカー、ネックレスなどを中心に制作していて、何を組み合わせようか考えている時が楽しいですね。細かい作業なので目も痛くなるし、粉が舞ったりして大変ですが『今でも使っていますよ』と写真付きで送ってくれたり、『気に入っています』とコメントいただいた時はとてもうれしいです」と、目を細め笑うナインナインさん。

作ってみてしっくりこなければ、もう一度作り直すこともあるため、ひとつひとつが思い入れの詰まった作品ばかりです。

制作活動を本格的に行うきっかけになったのは、2021年にミャンマーで発生したクーデターでした。日本にいる自分でも何かできることはないかと考え、作品を販売。その売上の全てをミャンマーへの支援金として送りました。

この取り組みは町内の人にも広まり、200個以上の作品を制作したこともあったそう。制作時には必ず母国を想うことを大切にしています。

―日常が戻ることを祈って


(画像:兵庫県美方郡香美町「木の殿堂」ワークショップ風景)

「海外に住んでいる私たちも苦しいけれど、一番苦しいのはミャンマー国内にいる人たちです。いくら苦しいと思っても、私たちはその中で努力しないといけない。制作を続けている内に、何年もの間波にもまれて美しく生まれ変わるシーグラスは、ミャンマーと似ていると思うようになりました。私たちミャンマー人も苦しい時間を乗り越え、最後には平和になりたいです」とナインナインさん。

平和を求め努力し続ける。そのひたむきな思いが、美しく輝く作品には込められていました。


(画像:写真左は東京のアトリエ&カフェで販売したマスクチェーン、右は「木の殿堂」ワークショップでの展示作品)

コロナ時期には、東京のアトリエ&カフェ「Le trefle Gallery & Cafe」から相談を受け、マスクチェーンの制作と販売を行ったり、新温泉町のお隣の香美町でワークショップを行ったりと活動を広げています。今後の活動が楽しみです。

作品の注文やお問合せ、イベント出店などについては、Eメールアドレスへご連絡ください。

LINK UP  ナインナイン・アウンさん

■Kokoro Sea Glass Accessory
(所)兵庫県美方郡新温泉町
(問)kokoro.peace@gmail.com
(FB)https://www.facebook.com/people/Kokoro-Sea-Glass-Accessory/100072124658430/
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