但馬STYLE VOL.46 「香美町とと活隊」《香美町》

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兵庫県美方郡香美町は、2014年4月に全国で初めて「香美町魚食の普及の促進に関する条例」という制定を誕生させた地域です。「香美町とと活隊」は、この制定（通称とと条例）を盛り上げるために発足したボランティア団体で、地域の水産振興、水産物の消費拡大、さらに地域経済の活性化に寄与するために結成されました。

―「香美町とと活隊」とは

「『香美町とと活隊』の『とと』は、幼児語の『魚』のこと。『活』は香美町魚食普及促進のための一連の活動（略称「とと活」）が由来です。制定では毎月20日は「ととの日」と定めているんですよ」と教えてくれたのは、同団体の隊長を務める濱上栄作さんです。

最初は10人ほどの集まりから結成されたという「香美町とと活隊」。現在は28人の隊員が所属しています。地域で水産加工業を営む人や、漁師・区長・議員など有志から構成され、カメラ・デザイン・動画などそれぞれが自分が持つ特技を生かしながら、活動を行っています。

（画像：<左>香美町立香住第一中学校での料理教室風景。<右>香美町立小代認定こども園でのタッチングプール風景。)

同団体では、小中高生や主婦にむけて月に数回行っている香住の漁業を知る講義付き料理教室や地域の幼稚園に出向きタッチングプールのイベントを開催。毎年10月の魚食普及月間には「みんなのととコンテスト」と題し、魚をテーマにした俳句やファインアート作品の募集などを行っています。（コンテスト内容は変動あり）

「料理教室は、魚の美味しさや、魚の捌き方を知ってもらうため、『タッチングプール』は小さい頃から魚にふれあい親しみをもってもらうためにはじめました。最初は魚に対して苦手意識を持つ子も多いですが、イベントをきっかけに魚の魅力や美味しさについて知ると、笑顔になる子も多くて。将来は『漁師になりたい』などと言ってくれる子もいるんです。そんな瞬間を見ることが楽しくて、ここまでやってこれているんだと思います」と笑う濱上さん。

そんな美味しく、楽しく、勉強になる「香美町とと活隊」の活動は、2021年に「農林水産省・食育推進ボランティアの部『消費・安全局長章』」を受賞しています。

―魚は昔から身近な存在

隊長の濱上さんは普段、香美町内の水産加工場・「浜貞商店（はまていしょうてん）」の代表として、焼きにぎす・一夜干しカレイ・干しハタハタなどの製造販売を行っています。

「30年前、家業を継ぐ為に香住に戻ってきました。焼きにぎすを作っているのは、うちが一番多いんじゃないかな。丁度、昨日も仕込んだばかりなんです」と、慣れた手つきで焼きにぎすを梱包していきます。

二ギスとは、淡白な身とほどよい脂が特徴の魚です。香住のソウルフードともいえる魚で、同商店では昔からこの魚を手作業で加工してきました。燻し加減を調整しながら出来上がったこだわりの焼きにぎすは、皮は香ばしいく身はややふっくらとしていて、旨味が凝縮されています。

「 オーブンや電子レンジで少し温めて食べてもいいし、ほかにもいろいろな食べ方があるよ」と渡してくれたパンフレットは、炊き込みご飯・炊き合わせ・甘から煮など簡単なアレンジがたくさんあります。（パンフレットは商品を購入する際に同封されています）

―「とと活隊」が紡ぐ、町の風土

（画像：「香美町とと活隊」の隊員のみなさんたち)

美味しい魚をさらに美味しくし届ける仕事と、「香美町とと活隊」の隊長を務める濱上さん。同団体での活動について「隊員にはそれぞれいろんな職や立場の人がいるため、意見をまとめるのが大変なこともあります。ですが、目標にしていることはみんな一緒なので、そこに向かって色々と話すのは楽しいです。魚やとと活隊の活動、考えに共感し気になるという方がいれば、気軽に参加してもらえたら嬉しいです」と話します。

「香美町とと活隊」は結成後から一歩一歩歩みを進め、今年で10周年を迎えます。公式HPでは、浜貞商店の「焼きにぎす」のほか香美町で作られている水産加工品の通販が可能です。魚やカニの簡単な食べ方の動画も掲載されていますよ。一般の方も参加できるイベントの告知はSNSにて行っていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

LINK UP  「香美町とと活隊」