但馬STYLE VOL.52 新温泉町de謎解きまち歩き 《豊岡市》



(画像:『新温泉町de謎解きまち歩き』代表の船川桜杜羽さん。)

兵庫県美方郡新温泉町にある湯村温泉では、「新温泉町de謎解きまち歩き」といった新たなまち歩き企画が始まろうとしています。芸術文化観光専門職大学の公認サークル、アートマネジメントサークルが企画したイベントです。

観光で訪れた方や地元の方が謎解き冊子を片手に町を歩きながら、建造物や史跡を巡ってゴールを目指すという内容です。謎を解く過程で、温泉地としての魅力や「夢千代日記」の舞台といった地域の文化に触れられるような仕掛けになっています。

アートマネジメントサークルとは

第一期生の2022年度に、「アートマネジメントサークル」は発足しました。新しい表現や、地域との関わり方を模索する場を作りたいという思いから、「芸術文化×○○」という掛け合わせを通して、企画・運営を実施していくサークルです。

「学内だけでなく地域と繋がって、実際に活動できるサークルにしたいという前代表の思いを引き継ぎ、活動を続けています。企画ごとに発案者を代表にしていて、いつも複数の企画が動いています」と教えてくれたのは、3年生の船川桜杜羽(ふなかわおとは)さん。アートマネジメントサークルに所属し、「新温泉町de謎解きまち歩き」イベントの代表を務めています。

船川さんは1年生の頃に企画を持ち込み、それ以来アートマネジメントサークルで活動をしています。現在はサークルだけでなく、「舞台芸術プロジェクト花篝(はなかがり)」といった団体を立ち上げ、演劇や子ども向けのエンタメ作品、落語研究会にて寄席に登壇したりと、個人でも幅広く活動をしています。

今では様々な活動をしている船川さんですが、初めて開催した企画では思うような形にできなかった経験があると言います。その失敗を糧に、企画の趣旨や目的を明確に立てて取り組むことの大切さを学び、2つ目の企画ではリアル謎解き脱出ゲームを開催し、成功を収めました。


(画像:<左>『リアル謎解き脱出ゲーム 秘密研究所からの大脱出』スタッフ集合写真。<右>同イベントチラシ。)

「寡黙症の方にも参加していただけたことが思い出深いです。他の参加者と協力する謎解きだったので、聞き役に徹してもいいし、書いて意思疎通をとっても大丈夫ですよ、と提案したんです。本当に参加してよかったと感想までいただき、今でも励みになっています」と船川さんは振り返ります。参加を迷われていた方や、様々な年齢の方が力を合わせている姿も、うれしかったことの一つだそう。この経験があり、謎解きのプロデュースに力を入れるようになったと言います。

町歩き型の謎解き


(画像:船川さんが代表として手掛けた企画のチラシ。)

「サークルでの企画は、私たちが持ち込んだり、こんなイベントをしてみませんかとお話をいただくこともあります。今回の『新温泉町de謎解きまち歩き』は、以前新温泉町で謎解きイベントをしたことがきっかけで、お話をもらいました」。

新温泉町では、温泉や景観などの魅力的な観光資源がある一方で、観光客の方が体験できるアクティビティが少なくなっていると聞いた船川さん。企画の目的を、観光で訪れた人々が楽しみながら地域の魅力を発見できるようにすること、地域の方にも町への愛着をより深めてもらうこととしました。

「町歩き型の謎解きイベントでは、下見をとても大事にしています。何回も解いてもらうためには、自分自身で何回も行かないといけないと考えているからです。初めて訪れた時の感覚を大事にしながら、何度も足を運んだ時の印象の変化を見逃さないように気を付けています。疑問に感じた建物などは、現地の方に聞き込みをしながら情報を集めます。聞いていくうちに誰も知らない建物の特徴があったり、現地の方もわからない、といった発見と出会えることが楽しい」と船川さんは笑います。

「今回制作した『新温泉町de謎解きまち歩き』でも、実際に何度も町を歩きました。お店の方々に声をかけてお話を伺いましたが、どの方も本当に温かく、素敵な人たちが暮らしているのだと心から感じました。冊子のデザインから、謎解きの整合性、ルートの調整などをゼロから構築するのが大変でしたが、温泉のある町に生きる人々の日常を感じてもらえるような物語や、設定を意識して盛り込んでいるので、ぜひ楽しんで欲しいです」。

一人でも、複数人でも楽しめるように工夫された「新温泉町de謎解きまち歩き」。船川さんが下見に行った際に、家族で来ている方が多く、そういう方が子どもたちだけでも楽しんでおいでよ、と言えるようなものにしようと、小学校中学年くらいから一人で解けるぐらいの難易度に設定されています。

―地域とのつながり


(画像:『新温泉町de謎解きまち歩き』イベントの舞台の一つ夢千代像。)

「企画自体もそうですが、チラシを置いて協力してくださる方や、地域の方あってのサークルだと思います。最近では、城崎でも町歩き型の謎解きイベントをしました。終了後も冊子を置きたいといった話をいただき、少しずつ活動が繋がってきているのを実感しています。今回の謎解きイベントでも、ご好評いただけたら改良して期間後も継続できたらと考えています」と船川さん。

「新温泉町de謎解きまち歩き」は来年の開催を予定しています。新温泉町にあるヤマザキショップカドミセにて謎解き冊子を置き、町を歩きながらする謎解きと、座りながらできる謎解きが2つ入り、ゆっくりと時間を過ごすことができます。新温泉町のことを深く知る謎解きを、足を運んだ際には、ぜひ手にとって遊んでみてはいかがですか。

LINK UP    新温泉町de謎解きまち歩き

 

■ アートマネジメントサークル(芸術文化観光専門職大学内)
[所]兵庫県豊岡市山王町7-52