養父市にある八鹿町小佐地区。緑に囲まれ小川が流れる中山間地域です。その中に位置する椿色区を中心に、自然環境改善を目的とした小佐中山間地の自然環境改善プロジェクトが立ち上がりました。
代表は、実際の椿色区でも区長を務める西田浩二さん。小佐地区は8つの地区の集まりで、椿色はその一つです。結婚を機に移り住み40年ほど過ごしてきたという西田さんは、「ここはつながりをとても大切にしている地域なんですよ」と教えてくれました。
―養父市小佐地区という場所
「有名な名草神社に関わる祭事はもちろんですが、氏神や山神など、地域の神に感謝する小さなお祭りが一年を通して行われます。人口減少が進む中、祭りを維持するのは大変なことです。それでもなんとかやってこれたのは、人々が協力し守り続けてきたからに他ありません」
しかし地域の誇りと同時に、少子高齢化や限界集落化による閉塞感も感じていたといいます。そんな状況をなんとかしたいという思いは歳を重ねるごとに強まりました。行動に移したきっかけは、中学校教師をしていた西田さんが成長した教え子から言われた一言でした。
―大きな祭り復活へ
「地元を離れた当時の教え子から『子どもを連れて帰省したいんだけど、昔あった大きなお祭りはもうないの?』と相談されたんです」。
「大きなお祭り」とは、20年ほど昔に行われていた魚釣り大会のこと。その頃の小佐川にはヤマメやイワナなどたくさんの川魚がおり、有志の手によって地区をあげての賑やかな祭りが行われていたそうです。
しかし山の手入れができる人が減り、それにつられ川の環境も大きく変わり、川遊びをする子ども達も見られなくなりました。近年では小規模な納涼会のみの開催となっていましたが、「今の小佐地区の子ども達に外で遊ぶ楽しさを体感させたい」と考えた西田さん。椿色区を立ち上げ、「〜納涼〜魚釣り・魚つかみ大会」を開催し、念願であった「大きなお祭り」を復活させました。
―久しぶりの賑わい
「久しぶりに子ども達の声が響いて賑やかになりました」と、西田さんは満足そうに振り返ります。小さな子どもにはつかみどりプール、中高生や大人は川を堰き止めた釣り堀で釣り体験をさせるなど、幅広い年齢が参加できるよう工夫も満載。椿色区初開催となった2023年は地区内のみで行いましたが、3年目には但馬内外から多くの参加者が集まり、およそ250名ほどの人々が川魚との触れ合いを楽しみました。
お盆という忙しい時期のため開催を懸念する意見も一部ありましたが、功を奏したのは住民に対する西田さんの地道な働きかけです。「イベント内容を書いた手紙を渡したり、会える場合は家に訪問し、住民とコミュニケーションをとることを大切にしました。今では地域の若者も参加してくれるようになり、自主的に行動するなど積極性も増しています」。
地区の未来を真剣に考えてくれる若者の増加につながりました。

(画像:<左>西田さんが制作したイベントチラシ<右>魚釣り準備の様子)
―未来のこども達へ
またこのようなイベントだけでなく、自然にまつわる学習会も開かれました。神戸で活躍する養父市八鹿町出身の環境プランナー林徹氏による環境学習をはじめ、養父市で活躍する自伐型林業家や、安田茂氏や西村いつき氏といった有機農業の有識者による野菜の栽培方法など、内容は多岐にわたります。
「中山間地域である小佐地区には小佐川(おさがわ)と日畑川(ひばたがわ)という二つの川がありますが、川を美しくするにはまず山の手入れが大切なのだと私自身学びました。川の水が豊かになれば、その豊かさはヤマメやイワナ、ホタル、カワヤナギなどの水生動植物に循環されます。自然環境のバランスを整えるため、地域内の至る所にヒオウギやフジバカマ、黄レンゲツツジ等の植栽も行なっています」。

(画像:<左>自然学習「妙見の自然環境と植物学集」の様子<右>野外での同学習)
改めて「人間は自然の中で生かされていると感じました」と西田さん。
「幼い頃、人それぞれに記憶は違っても川や山が身近にあったのではないでしょうか。願わくば小佐地区で豊かな経験を通して成長した子ども達が、将来帰ってきてくれれば良いと思っています。10年20年先を見越した取り組みを続けていきたいですね」。
椿色区の活動も3年目を迎えます。こども達に何を託すのか、西田さんは「今、自然を伝える必要があります」とまっすぐ未来を見つめていました。
LINK UP 椿色区
| ■ 養父市八鹿町椿色 地域活性化実行委員会 代表:西田浩二 [連絡先]nishida79gaia.eonet.ne.jp |












