但馬STYLE VOL.55 Kanakoさん 《香美町》



(画像:作品を持つ Kanakoさん)

「手作り磁器作品」を指すポルセレーヌ。その繊細な美しさと手作りならではの暖かさから、ヨーロッパを中心に世界中から愛されています。兵庫県香美町で陶器人形を中心としたポルセレーヌ作家として活躍するKanakoさんも、その魅力に惹かれた一人です。

―陶器人形との出会い


(画像:Kanakoさんの作品。表情は夢見るように愛らしい)

Kanakoさんがポルセレーヌに出会ったのは20年ほど前のこと。同町に引っ越してきた陶器人形作家と知り合い、その方が主催する陶器人形教室への参加をきっかけに作品を作り始めました。以来作品を作り続けています。

陶器人形の穏やかな表情と柔らかな雰囲気に心を惹かれたというKanakoさん。
「人形を作っている時、私自身が何もかも忘れて夢中になれる時間がありました。そのひとときが心の支えとなり救われたんです」と振り返ります。自身が創作を通じて感じた喜びや充実感を多くの方に味わって欲しいという思いが原動力となり、現在は講師としても活躍しています。

―窯から出すまでわからない


(画像:陶磁器粘土を薄く伸ばす。その厚みなんと1mm程度)

「作品の素材となるのは特殊な陶磁器粘土で、釉薬を掛け1100℃で焼成します。すると光沢のある艶やかな質感に変わります。制作時には、粘土にヒビが入ってしまわないように均等な薄さに伸ばし、水で粘土同士を慎重に接着していきます。その作業は何度行っても難しく、上手く接着できたかどうかは窯出しするまでわからないんですよ」。作品作りはいつも緊張の連続だと言います。手作りのため、同じものはひとつとしてないのも魅力のひとつだとか。


(画像:焼き上げる際に粘土が縮むため、少しゆとりを持たせ形成するのがコツだとKanakoさん


(画像:左は焼成前、右は焼成後の作品。粘土のマットな質感が消え、一回り小さくなっている)

その場にあるだけで観る人の心をそっと和ませ、ときには勇気をくれるような陶器人形たち。Kanakoさんが生み出す作品は可愛らしくてあたたかな表情をしており、見ると思わず顔がほころびます。
「無事焼き上がっても『もっと改善できた点があったな、次はもっと上手く作ろう』と思います」と振り返るKanakoさんは、作品作りの難しさに挫けそうになる時もあるといいます。ですがそんな時は、「自分に対してもそうですが、生徒さんにも『今はできなくても、いったん気分転換してまた頑張りましょう』とお伝えしているんですよ」と笑います。

―一人一人に向き合って


(画像:細部まで緻密に仕上げられたこの作品は、第7回 国際公募 東京アート工芸2024にて入賞した)

屋号の「Atelier tête-à-tête(アトリエ テテアテテ)」にある「 tête-à-têtee」には、フランス語で「向き合う、対面する」という意味があります。手作りの「て」という語感も相まって、Kanakoさんの「一人一人と作品づくりの想いを共有したい」という気持ちが込められています。

現在近隣の公民館と自宅とで、月一回の陶器人形教室も開催中。クリエイターサイトにて作品も販売されています。今後も生徒の方と励まし合いながら、優しい陶磁器作品の世界が広がっていきます。

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■Atelier tête-à-tête
[所]兵庫県美方郡香美町香住区訓谷

Instagram:https://www.instagram.com/atelier_teteatete/