但馬STYLE VOL.56 有限会社中野醸造 《養父市》



(画像:親子三世代。3代目中野利洋さん、4代目雅人さん<左>、5代目宗一郎さん<右>)

豊かな自然が残る町、養父市広谷には、明治32年から始まった醤油蔵「中野醸造」があります。昔ながらの技法と味を貫き、伝統を受け継ぐ「中野醸造」は地域の人々に愛されながら現在も続いています。

―続く歴史


(画像:代表商品であるマルナカ醤油、瓶詰めの様子)

今年で127年目になる醤油蔵「中野醸造」の始まりは、良質な伏流水が出たことがきっかけでした。創業以来の百年蔵で、今も水質管理を欠かさず樽仕込みの醤油を作っています。蔵は全て組み木でできており、釘が一切使用されていない作りは歴史を感じさせます。

「今は3代目の祖父が83歳、私が57歳、息子が27歳の親子三世代でしています。創業当初からの変わらない味を守り続けています」と教えてくれたのは4代目、中野雅人さん。

―昔ながらの製法


(画像:櫂を入れる腕に力が入る雅人さん、力強くもろみを混ぜている)

百年蔵で仕込まれる醤油は、長い年月を経てじっくりとうま味を醸し出し、樽に染み込んだ香りとうま味が醤油をさらに美味しく仕上げます。蔵の天井に張り巡らされている梁や壁には、百年もの時間をかけて酵母菌が住み着いており、これを蔵付酵母古式仕込みといいます。壁や木桶に長年棲みついている自然の酵母菌を利用した、江戸時代から伝わる伝統的な酵母技法です。

同じ味は昔ながらの製法でしか作れず、手を抜かない地道な作業が沢山あるそう。

「製法は特に大変なことが多いですが、味を守ることは信頼にも繋がります。そして配達なども変わらず1件ずつ周っていて、顔を見て声を直接聞くということを大切にしています。美味しいと言ってもらえると本当に嬉しいですね、そういった繋がっている部分を大切にしたいです」と雅人さん。


(画像:朝倉山椒を使用したポン酢風ドレッシング)

お客様の声を直接聞き、用途に合わせた細かい注文が聞けるのも小さい醤油蔵ならではで、大量生産じゃないからこそ小回りが効くと雅人さんは言います。そうしたお客様の声から新商品が生まれたこともあり、地元の食材を活かした商品も中野醸造では手掛けています。

「地域密着型で続けてきたからこそ、お客様にも三世代でずっと使ってくれている方が多く、『この醤油じゃないと』と言っていただけることもあり嬉しいです」。

―若者の感性


(画像:米麹の揉み込みの様子。麦一粒一粒に傷を作り手作業で発酵菌を入れている)

そんな中野醸造では、5代目の宗一郎さんが加わってから新しい変化がありました。SNSに力を入れることで若い世代の顧客が増えたり、一人暮らし用の醤油サイズを展開するなど、その行動力に雅人さんも驚いていると言います。

その他にも宗一郎さんは、大学在学中に取得した発酵マイスターの資格で、技術面でも活躍を見せます。発酵マイスターとは、微生物の働きや発酵食品のメカニズムについて専門的な知識と技能を習得したことを証明する資格です。資格をとったことで、手の感覚を頼りにしていた伝統技法に徹底した温度管理を行い、季節物の商品を年中販売できるようになりました。伝統の製法と味を守りながら、日々技術を学んでいる最中だと言います。

「まずは知ってもらうこと、それが一番です。いずれは観光とのリンクがしたいですね。観光地になれば、中野醸造だけでなく地域全体が盛り上がります。大きい夢ですが挑戦したいです」と語る5代目の宗一郎さん。これからも味を守り、新たな挑戦とともに歴史が紡がれていきます。

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■有限会社中野醸造
[所]兵庫県養父市広谷129
[問]079-664-0018

[HP]https://www.nakanojozo.com