兵庫県美方郡香美町村岡区大笹(おおささ)にある「ハチ北高原」は、同町と養父市の間にそびえる標高1,221mの鉢伏山(はちぶせやま)から北側に広がる高原です。
春から秋はバードウォッチングに森林浴、オートキャンプ。冬は「ハチ北高原スキー場」でスキーやスノボなど自然アクティビティを満喫できます。
一般社団法人 ハチ北高原自然協会ではハチ北高原を盛り上げようと「もののけの森 グリーンパークハチ北」オートキャンプ場の運営や「ハチ北高原ひまわり祭り」の開催の協力など様々な夏のアクティビティ事業に取り組んでいます。
―「一般社団法人ハチ北高原自然協会」の活動とは
高原の麓にある「ハチ北観光協会」は「一般社団法人ハチ北高原自然協会」の母体施設です。同協会は「ハチ北高原スキー場」の開発が始まった昭和43年(1968)頃に発足しました。
冬は住民が貸し出した施設駐車場の土地を一括して運営管理をし、それ以外の季節は一般的な観光協会と同じく地域のPRや誘客、宿の斡旋等を行ってきました。21年前に法人化してからはスキー場に変わる新たな地域経済の循環と魅力発信に力を入れています。
「他の観光協会と決定的に違うのは、町からの補助を一切もらっていない独立した団体だということです。補助はイベント等を開催する時だけです。駐車場の運営で出たお金で年間運用を行っています」と代表理事を務める田丸明人さん。
駐車場から出た利益は土地の地主である住民にも均一に配られるようになっているとのことで、地域全体でお金が回るような仕組みが確立されています。
事業の企画も、役員や協会員だけではなく地元の有志、例えば京都や大阪など都会の方から移住してきた人、長年この地域に住んでいる人など年齢関係なく参加でき、意見を出し合える体制を整えています。
―「お客さんと一緒に作る」夏事業
経営的な目線で事業に関わる田丸さんは、現職に就く以前、「道の駅村岡ファームガーデン」や「たじま高原植物園」を運営する「株式会社むらおか振興公社」で社長を勤め、地元野菜のPR・但馬牛の買い付け・ペンション運営なども行ってきました。
同法人の理事に就任した3年前からは、長年の経験をハチ北に元々あったキャンプ場事業の見直しに生かしてきました。
「観光誘致施設というのは、常に新しいものを求めて来るお客さんのためにいろいろな企画を考えて人を誘致していますよね。うちでいえば、もともと地元にあるものを観光資源として人を誘致していく必要があるんです。なので、飽きられないように常に新しいものを作るようにしています」
”継続な利益を保ちつつ、地域規模で生きて行かなくてはいけない”という強い思いがあった田丸さんは、丁度コロナで来たキャンプブームの流れを追い風に「もののけの森 グリーンパークハチ北」オートキャンプ場を主力の事業とするために活動してきました。
より良いキャンプ場にするための欠かせない活動に「利用者の方に答えてもらうアンケート」があります。
アンケートにはWEBアンケート、場内にいるスタッフが実際に利用者とコミュニケーションを取る中で聞き取ったものの2種類です。
「アンケートで得た情報は、ぬかるんだ道の整備や、暗いと感じた場所に街灯の設置をするなど環境設備の充実に役立ています。参考にするのは利用者の声だけでなく、WEB予約時に得る年齢やペットの有無等の情報も生かしていきます」
アンケート以外にも自ら考えて改良を進めています。
「炊事場の水道からは、お湯が出るようにしたんです。こうするとお客さんは家で洗い物をしなくても済むようになる。この窯ではピザも焼けるようになってるんですよ」
ちょうど炊事場の奥にある「もののけの森」は、真夏でも涼しく神秘的なエリアです。7月初旬には姫ボタルが見頃を迎え、奥に「昇竜の滝」という滝スポットも存在します。
滝に向かう手前にある「鳥の巣展望台(アドベンチャー展望台)」からは景色を一望する事ができます。展望台にある鳥の卵は田丸さんお手製のもの。
どうせ作るならと世界一大きい恐竜の卵を元に作ったそう。
遊び心溢れるスポットです。
(同展望台は上級者向けのルートです。軍手・足首を守る靴を装備の上、中学生以上を対象としております。小さなお子様はご遠慮下さい。)
―地域の人が交流する場を作るために
同法人の行う夏事業には、休耕田で行われていたひまわり栽培の担い手と地域交流の場の減少打破のため考案されたイベントがあります。
それが「ハチ北高原ひまわり祭り」です。
「ひまわり祭りは自分たちの栽培したひまわりを、多くの人に観てもらって元気を分けてあげたい。地元の子どもたちに少しでもひまわりを愛でてほしいという思いから始まりました」
前任者が2019年頃より栽培に取り組み、少しずつ活動範囲を広げ、2021年8月8日(日)に「ハチ北高原ひまわり祭り」として展開していきました。
田丸さんの友人でありハチ北観光協会の常務理事である田野昭博さんは、同協会付属の委員会「ヒカリモン倶楽部」のひまわり祭り企画担当としてイベントに携わっています。
「ヒカリモン倶楽部」とは年2回の自然観察会、ホタル発生調査・ハチ北地区内のホタル鑑賞スポットを巡るホタルマンスリーなど観察体験を担当している委員会のことです。
事前に畑の土壌を整え、一部区民と子ども会と協力して種をまき、イベント開催日まで成長を見守ります。
イベント開催時間は10:00〜16:00。
会場になっている農場「ハチ北高原ウエストヴィレッジ」まで送迎車を利用して向かいます。
施設の向かいでは出店や演奏会、ブルーベリー狩り、裏の棚畑ではひまわり鑑賞を楽しみながら思い思いに過ごせる場が用意されました。
「イベント当日は開場前から数組、お客さんが待っていてくれました。そして開場後には続々と来場者の入れ替わりがあり、人が途切れる間も無く訪れ送迎の応援を呼んだほどでした」とうれしそうに話す田野さん。
ひまわりは鹿の食被害に合い、再度種をまき直したり、当日は午後に雨天になり急遽テント設営するなどイベント前後にハプニングもあったそうですが、臨機応変に対応して無事終了することができました。
「大変だったのは、ひまわりの開花状況や当日の来場者数の予測がつきにくく、駐車場のスペースの手配などをどうするかといった対応などです。うれしかったことは、当日なんとか鑑賞できるほど開花したひまわりと、予想以上に来場者のあったこと、そして、ひまわり鑑賞に音楽がとてもマッチしていて気持ちよかったこと」と振り返ります。
―感想をヒントに開拓する未来
好評だったイベントですが、「他地域に比べてひまわりの栽培規模や育成が充分でない」といった意見があり、一度中止が決められたこともあったそうです。
コロナ渦でということもあり地域交流の場が途絶えそうになっていた2023年。「開催しよう」という話になり、再度事業の立ち上げが行われました。
「地元の区民を対象とした小さなイベントではありますが、外部からお越しの方も来場大歓迎です。ハチ北の宿に宿泊していたのでたまたま寄ってみた、但馬方面に来たのでちょっと寄ってみた等々、ぜひ夏の想い出の1ページをハチ北のひまわり祭りでお過ごしください」
これからも少しずつ変化していく「ハチ北」をお見逃しなく。
ここだからこそ見える景色、出会える人、味わえる体験があります。
(ひまわり祭りについて気になる方は、「ハチ北観光協会」までお問合せください)
LINK UP 一般社団法人 ハチ北高原自然協会
■もののけの森 グリーンパークハチ北 [問] 090-5005-1822 [時]8:00〜17:00 [休]木曜日 (HP)https://hachikita.jp/greenpark/ ■ハチ北観光協会 (ハチ北高原ひまわり祭りお問合せ先) [問]0796-96-0732 [時]8:00~17:00 [休]木曜日 |