兵庫県香美町出身の守山洋輔さん。「多くの人にサッカーの楽しさを伝えたい」と、但馬知的障がい者サッカー連盟を立ち上げました。
―障がい者スポーツとの出会い
兵庫県社会福祉事業団に入職し、豊岡市出石町にある障害者支援施設「出石精和園」に勤める守山さん。幼い頃からサッカーが好きで、プロサッカーチームである東京ヴェルディのジュニアユースチームでコーチを務めた経験もあります。そんな守山さんが障がい者スポーツを意識したのは、学生時代の出会いがきっかけでした。
「“情緒障害児”と呼ばれる、感情面に問題が生じ、社会への適応が難しいとされる子どもたちとサッカーをしたときのことです。子どもたちの表情がどんどん明るくなっていき、その笑顔からスポーツを心から楽しんでいることが伝わってきました」と守山さん。指導した子どもから「安心する」と言われたことも、障がい者スポーツに関わる後押しとなりました。
―広がるスポーツ
地元である兵庫県への就職を決意し、但馬にUターンしたのは2010年のこと。その際経歴を知った上司から「障がい者サッカーをやってみないか」と声をかけられ、翌年には出石精和園利用者を対象にした「チコーニャFC」を設立しました。但馬初となる、知的障がい者サッカーチームの誕生です。
「最初は少なかった参加人数も、活動と共に徐々に増えてきました。上手くなりたい人やメンバーに会いにきた人、それぞれが自分に合った方法で楽しんでいます。スポーツへのニーズは確かにあったんです」
近隣だけではなく、より多く但馬全域の人たちにサッカーを楽しんでもらうため、2018年に但馬全域を対象とした但馬知的障がい者サッカー連盟を立ち上げました。
―生活の選択肢としてのサッカー
現在練習が行われているのは豊岡市出石町、香美町香住区、朝来市和田山町の3拠点。賛同した新聞社がスポンサーとなるなど、年々活動は広がっています。ですが守山さんは「まだ十分ではありません」と力を込めます。
「機会・場所・指導者が不足しがちなため、知的障がい者の方々がスポーツに携わる機会は多くありません。特に社会人になると家と会社の往復になりやすくなります。生活の選択肢の1つにサッカーを加えてほしいんです」
守山さんのスポーツにかける熱い思い。それには、自身にサッカーを教えてくれた小学生時代の監督の存在がありました。
―必要なのは“信頼”
「“お前ならできる”と繰り返しかけられた言葉が自信となり、サッカーを純粋に楽しむ気持ちにつながりました」と守山さん。クラス担任でもあった監督の指導方法は、“褒めて伸ばす”というもの。相手を信頼し認める姿勢は、1番最初に教わった、1番大切なことだと続けます。
「健常者スポーツとは違い、できないことに対して“できるようにする”より、“認めながら一緒に楽しむ”姿勢を大事にしています。8人ないし11人でプレイするサッカーは、仲間を大切にできるスポーツ。私がサッカーに教えてもらったことを、次の人に伝えていきたいんです」
年齢・性別を問わず様々な選手が参加する、但馬知的障がい者サッカー連盟。県内で優勝できるチームとしても育ってきました。興味のある方はぜひご参加ください。
LINK UP 守山 洋輔さん
■但馬知的障がい者サッカー連盟 [問]080-5320-0255 (Mail)tajima_ffid@yahoo.co.jp (FB)https://www.facebook.com/tajima.ffid/ |