但馬CULTURE VOL.18  お菓子の神様「タジマモリ」


タジマモリとは、「古事記」「日本書紀」に伝わるお菓子の神様「田道間守命(タジマモリノミコト)」のこと。誕生地は兵庫県豊岡市とされ、豊岡市にある中嶋神社では菓祖神としてまつられています。

― 果実を求めて海を越える

 遠い昔タジマモリは垂仁天皇の命を受け、遠い海の向こうの「常世の国」にあるという「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を探す旅に出ました。「非時香菓」とは一年中実り芳香を放つ果実の意味で、今の「橘」といわれています。当時、日本に「非時香菓」はなく、食べると年を取らずに長生きができると考えられていました。

 タジマモリは幾多の困難を越え、やっと「非時香菓」を見つけました。大喜びで「非時香菓」を持ち帰りましたが、その一年ほど前に天皇は亡くなっていました。持ち帰った「非時香菓」の半分は皇太后に献上され、残りの半分を天皇のお墓に植えた後、タジマモリは悲しみのあまり亡くなったといわれています。

― 香り高い橘

「非時香菓」は現在の橘であるといわれていますが、橘はみかんの原種です。昔、果物は「果子・かし」と呼ばれており、橘は果子の最上級品とされていたことから、タジマモリはお菓子の神様(菓祖)として崇敬されています。

豊岡市の隣り、京都府京丹後市網野町木津に、タジマモリが橘を持ち帰ってきて到着したといわれる地があります。到着したといわれる現在の夕日ヶ浦は、別名「常世の浜」と呼ばれます。

― 現在も愛されるタジマモリ

タジマモリを祀った中嶋神社は、タジマモリのふるさとである豊岡市にあります。神社の名前は、タジマモリのお墓が垂仁天皇陵の濠の中に、島のように浮かんでいることに由来するといわれています。

この中嶋神社では、タジマモリの命日に近い4月の第3日曜日には「菓子祭例大祭」が行われ、全国の菓子業者や地元の方々が商売繁盛の祈願に訪れます。また、祭当日は菓子の福引や餅まきなども行われ、色々な屋台も並び沢山の人で賑わいます。

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■中嶋神社
[所]兵庫県豊岡市三宅1 (HP)とよおかスイーツギャラリーhttp://toyooka-cci.jp/
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