但馬PLACE VOL.8 Gocco


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石垣の上に立つ白い壁には緑が茂り、窓にはコーヒーの看板が揺れます。懐かしさもあり新しさもある。佇まい自体が一つのアートのような不思議な空間、カフェ&ギャラリー『Gocco』をご紹介します。

― 本気の『ごっこ遊び』

 幹線道路から外れて住宅街を進んでいくと、ひっそりとした道沿いに趣ある建物が見えてきます。正面には古いバス停。養父市大屋町にあるこの場所は、元々は保育所として地元に親しまれていました。カフェ&ギャラリーとしてオープンしたのは2015年7月のことです。
「保育所だった場所なので、自分だけのモノになってはだめだと感じました」
店主の河内友久さんはこの場所に対する特別な想いを伝えてくれました。

 元々芸術家として活躍していた河内さんですが、重度障害者の方たちとつながりも深かったそうです。彼らのする『ごっこ遊び』は独創的で、強い憧れを感じたと言います。誰が来ても受け入れられる受け皿を作り、そして繋がりができる。カフェなら間口を開けられ、そこからさらに大きく広げる事が可能です。そういった、人々が集える遊び場にしたいという願いがこの店名には込められています。

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― 耕された土

 大屋は3日いたらハマる場所だ、とご主人の河内さんは笑います。
静かなアトリエを探していた河内さんは、いくつかの候補地の中で最も遠い養父市を訪れました。大屋地域はアートでまちづくりを行っていた場所。「おおやアート村BIGLABO」や、大杉地区を見て回る内に、自然と引きつけられる魅力を感じたと言います。そこを見学し、大阪に帰る車の中ではすでにこの場所に住もうと決意されたそうです。
他にも、この旧南谷保育所には、10年ほど陶芸家が住んでいました。「先人がこの場所を耕していてくれたから、自分たちも入りやすかったんだと思います」

 どこかヨーロッパを彷彿とさせる自然と、鉱山があったからなのか、地元の人たちの朗らかな人柄も決め手になりました。「外の人間を受け入れやすい土壌も、人が耕してくれたんですね」自身の作品にも多く土を取り入れている河内さん。全てがリンクし、2014年にこの大屋に移住されました。

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― 目的地から日常に

 最初は但馬の降雪量にも驚かれたそうですが、土地の違いによる感覚の差は、綿密なコミュニケーションで埋めていきました。今では地域のクリスマス会の会場としても使われるなど、じわじわと活動の輪が広がります。現在は人が誘い合って訪れる場所ですが、これからは普段着でフラリと来てもらえる場所になればと、日常に溶け込むこれからを考えています。

 資材だけでなく、すでに役目を終えた廃材も、大切な要素として内装に使用しました。感じたままに組み上げられることによって、壁一つにも物語が生まれました。常に変化していくこの場所は、空間全てを使ったアート作品が作り上げられています。「このカップも自分たちで作ったんですよ」そう語って微笑んでくれたのは、写真家でもある妻の明子さん。彼女のこだわりのコーヒーは、同じくこだわって作られた焼き物のカップに注がれます。得意分野はそれそれ違いますが「やるなら本気で取り組みたい」という情熱はお二人共通です。

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― 発信源としての『Gocco』

 表現できる場所があるからもっと挑戦したい。反応があるから今まで気づかなかった自分を知ることができる。そう笑い合う河内さんご夫婦は、この大屋という耕された土地に根を下ろし、アートの葉をさらに茂らせていきます。まずは、世界中のアーティストの滞在制作場所を提供する「アーティスト イン レジデンス」という取り組み。そして、様々な人が作った個性豊かなアート作品を暮らしに提供する雑貨屋。地域おこし協力隊から無限に広がる発想で、『Gocco』はこれからも新しく変化し続けていきます。
皆さんも、常に発信していくカフェ&ギャラリー『Gocco』で、いつもの週末を少し変化させてみてはいかがでしょうか。

LINK UP カフェ&ギャラリー『Gocco』

■Gocco
[所]兵庫県養父市大屋町門野58-1 [問]080-4482-8919
(HP)https://www.gallery-gocco.com
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