但馬PLACE VOL.5 ゆむら屋おばあかふぇ


湯村温泉街に響く元気いっぱいの声。但馬で観光客の心を癒すのは、「ガールズバー」ならぬ「但馬のおばあ」。まるでふる里に帰ってきたような心あたたまる交流の広場「ゆむら屋おばあかふぇ」のご紹介です。

― 観光客の心を癒す湯村温泉の交流の場

 春来川のほとりに湧く、山陰の名湯・湯村温泉。冬に近づくにつれて一層多くの観光客で賑わうこの温泉街に、話題の交流場「ゆむら屋おばあかふぇ」があります。元々はガラス屋さんだった築130年の古民家を改装したお店で、お菓子の工場を経営する株式会社但馬寿が、遠くから来られるお客さんと交流を持つため、6年前にオープンさせました。働いている「おばあ」は、工場を定年退職したOBたちで、笑顔が素敵で元気な「おばあ」たちが店番をする珍しいコンセプトのこのカフェは、訪れた人々を癒してくれると、観光客の間で人気のスポットになっています。

 「おばあたちは人と話すことが好きで、自分たちも楽しんでやっています。名物の栃おはぎと一緒に彼女たちとの交流も体験してほしい」と語るのは、同社の久村常務。鳥取県からやって来た久村さんが一番印象的だったのが、方言で気さくに話す但馬のお母さん、「おばあ」たち。「但馬の面白いおばあをいろいろな人たちと引き合わせたい」そんな想いも重なり開かれたこの交流の広場では、個性豊かな「おばあ」たちがあたたかく出迎えてくれます。

― 「おばあの定義」が話題を呼ぶ!!

 「おばあ」を店名にしたのは、あるお客の一言がきっかけ。お店に入るなり、「ここはおばあばかりやがな!」と店を出て行ったそうです。それなら変な期待を持たれるより思いっきりハードルを下げようと「おばあかふぇ」と命名されました。

 「おばあ」を店名にすることに反発もあったそうですが、そのインパクトのある名前とおばあの自由奔放さが話題を呼び、徐々にお客が増えていったそうです。そこでできたのが「おばあの定義」。一、人の話を聞かない。一、我が道を行く。一、ボロクソに言われてもへこたれない。この三カ条がさらにウリになり、そんな「おばあ」に癒されたいと、観光客も立ち寄るようになりました。まさに逆転の発想が生んだ、おばあならではの「おもてなし」が人々の心を掴んだといえます。

― まるで田舎に帰ってきたようなあたたかさがある。

 「気軽に立ち寄ってもらって、人とのつながりや絆を深める場所でありたい」と話す、久村常務。お店に貼られたおばあの迷言色紙が温泉街を歩く人々の足を止め、店内ではおばあたちの笑い声とともに交流の輪が広がっています。

 名物「栃おはぎ」は美方ルビーと呼ばれる地元産の美方大納言小豆と、栃の実のアク抜きからすべてを自社で行っているこだわりの栃餅が合わさった自慢の逸品。「いくつでも食べられるように」と、あんこをほどよい甘さに仕上げ、昔ながらのおばあの味を完成させました。おばあが愛情を込めて作った素朴で懐かしい手作りの味わいにもホッとさせられます。

 店番を担当されている「おばあ」たちは、とにかく元気いっぱい。殺伐としたニュースが多い昨今、その恐ろしいくらいのマイペースぶりが若い世代の心を射止めているのかも知れません。県外から訪れた人は、「まるで自分の田舎に帰ってきたようだ」と話しているそうです。

 「おばあ」ブランドでの伝統文化の継承、商品展開、地域活性化と女性OBの再雇用が評価され、「2015年がんばる中小企業300」に選定。その勢いはますます加速しています。湯村散策の途中、そんな元気いっぱいの「おばあ」のぬくもりを感じにふらっと立ち寄ってみてはいかがですか。

LINK UP ゆむら屋 おばあかふぇ

■ゆむら屋 おばあかふぇ
[所]兵庫県美方郡新温泉町湯82-1 [時]10〜17時(変更あり)[休]水曜[問]0796-92-2366
(HP)http://www.yuzukitei.com
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