但馬STYLE VOL.8 福丸 泰正さん《朝来市》


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 国土交通省による重点「道の駅」として選ばれ、2015年10月にリニューアルオープンした兵庫県朝来市にある道の駅 但馬のまほろば。支配人・駅長を務める福丸泰正さんは「但馬のPR」に力を注いでいる但馬の元気人です。バイタリティあふれる人柄で但馬の良さを発信し続ける福丸さんをご紹介します。

― 「食」に通じている人生

 現在、支配人で駅長を務める福丸泰正さんは東京都生まれ。神社に縁があり、神職の勉強をして元々は京都の伏見稲荷大社で神職として奉職していました。日本を代表する観光地で、海外からの参拝者も多く“観光がもたらすまちの活気”というものを肌で感じる10年間を過ごしていました。

 そんなある日、不慮の事故で足を怪我してしまい長時間正座することが困難に。神職としては致命的だったため、いろいろと悩んだ末、神職を辞めることになります。

 せっかく京都にいるので京都らしい所で働きたいという理由から、次に料亭で働き始めます。そこでは主に食材の仕入れを担当。一流の料理長と一緒に市場を巡って、見分け方や仕入れ方、本物の良い素材とは何なのかということを学びました。

 その後、たまたま同駅の社員募集を知り「面白そうだ」と今から7年前に但馬へIターンしてきました。但馬には縁もゆかりもなかったのですが、実は福丸家のルーツを辿ると先祖のふるさとが豊岡市竹野町森本だったという偶然。福丸さん自身も、但馬に来てから初めて知ったそうです。きっと何かの縁が福丸さんを但馬へと導いたのでしょう。

 「私の人生はずっと“食”というものに通じています。稲荷神というのは稲生り、つまりお米の出来を司る神様で、五穀豊穣などを願う農業の神様でもありますし、料亭でも食という部分でお客さんに良いものを届ける仕事をしてきました」と、福丸さん。同駅に入社してからも、但馬各地の食にスポットをあてたグルメ企画などを実施しています。

― 仕事が趣味。バイタリティの源はお客さんの喜びです

 元々何かを企画したり、考えたりすることが好きな性格だという福丸さん。入社してからすぐに持ち前の企画力と行動力でいろいろなことを始めました。

 スローフードレストラン「茶すり庵」で毎週水・木曜に開催している「おばんざいバイキング」は、京都での経験が活かされたアイデア。京都の一般家庭で作られてきた惣菜を意味する“おばんざい”文化を、但馬でもやってみたいという想いからスタート。地元野菜を使った家庭料理をバイキングで楽しめると女性を中心に人気です。

 但馬の名店とコラボレーションしてまほろばオリジナルメニューを考案し、期間限定で販売しました。始めは今ほどネットワークも広くなかったので断られたりもしましたが、福丸さん自身が何度も出向いて協力してほしいと想いを伝えます。最終的には気持ちが伝わり、このコラボ企画はシリーズ化して、毎月違った店舗との協力で実現しました。

 そういった働きもあり、但馬内や県外の美味しいものが集結するグルメイベント「ロードサイドステーションフェスタ」を毎年秋に開催、今年で6回目を迎える一大イベントに成長しました。当日は多くの人で賑わいます。

 「仕事が趣味。大変なことは多いですけど楽しんでやってますし、皆がびっくりするような企画を仕かけていきたい」と福丸さん。バイタリティの源はお客さんの喜び。お客さんの喜んでいる姿がこの仕事のやりがいと話し、楽しさに変えてくれます。

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― 但馬のお宝を線で結んで但馬をPR!

 国土交通省による重点「道の駅」として選定され、リニューアルオープンした道の駅但馬のまほろば。様々な機能が追加され、サービスのさらなる向上に動き出しています。

 「重点道の駅に選ばれたからと言っても、お客さんにとっては関係のないこと。サービスをどう還元していくかが今後の課題です。最終的には全国モデル道の駅を目指して、オールマイティな道の駅にしていきたいです。」

 新たに道の駅内にできた「開発ラボ」で地元野菜を使った新商品の開発や、地元の小学生や主婦向けの料理教室などを実施して食育の拠点を築いていくことを考えています。さらに免税店や外国語対応スタッフなど外国人観光客受け入れの整備や人工知能ロボット「Pepper」の導入など、観光面でも様々なニーズに対応できる形態へ進化していく予定です。

 「クレームやご指摘は率先してどんどん聞きます。そこは変わっているかもしれませんね」と笑う福丸さん。「ない」に越したことがない不満の声も“本音の瞬間”と、あくまでも貴重な意見として受け入れます。そういう時にこそ、いいヒントが生まれるきっかけになるんだと言います。

 「但馬にはおいしいものがたくさんあるし、見る場所もたくさんあります。そんな但馬に点々としているお宝を“線”で結んでPRすることで地域全体の活性化につなげたいです。うまくつながる仕かけができたら、但馬はもっともっと楽しくなるでしょうね。」

 日々何か面白いことができないかと目論んでいる福丸さん。“通過点ではなく目的地へ”という夢が形になる日もそう遠くはないはずです。

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LINK UP 福丸 泰正

■道の駅 但馬のまほろば
[所]兵庫県朝来市山東町大月92-6[時]8時30分〜20時、レストラン/11〜20時(L.O 19時30分)、フードコート/9〜20時(L.O 19時45分)[休]無休[問]079-676-5121

(HP)http://green-wind.co.jp/(FB)道の駅但馬のまほろばFacebook

 

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