但馬STYLE VOL.25 阿瀬 大典さん《香美町》


「まじで潰れる5日前」。そんな悪口にも聞こえるユニークなキャッチコピーで話題となった、兵庫県香美町村岡区にある道の駅「あゆの里矢田川」。同道の駅長であり話題の仕掛け人でもある阿瀬大典さんは、どのような思いでそんなキャッチコピーをつけたのでしょうか。メディアにも取り上げられた名物駅長の素顔とは。

― 観光協会との出会い

姫路市出身の阿瀬さんが但馬に移住してきたのは20代のころ。
「祖父の実家がある村岡に向かう際の山道で、木々が迫ってくるような迫力を感じたのを覚えています。プログラマの仕事をしていたので都会にこだわらなかったことと、仕事に集中できる環境を求め移住しました」

プログラマの仕事のかたわら、趣味である風景写真を撮りつつ観光スポットを巡っているうちに、村岡観光協会で広報を担当することに。そして道の駅の駅長にならないかと声をかけられました。

― まじで潰れる道の駅

「確かに運営は赤字でしたが、正直なところ棚からボタもちでもあると思いました」と阿瀬さんは笑います。
「施設はキレイ。車通りは少ないですが町内の他施設には観光客が来ているので、呼べばお客さんは来てくれる確信がありました」
そのためにまず取り掛かったのはパンフレットなど観光情報の充実です。香美町内3つの観光協会に置いてある全てのパンフレットを取り寄せ吟味し、物販コーナーは商品の入れ替えを行い、細やかな配置や整理を心がけるなど、お客様目線を意識することを徹底しました。

また同駅北側の矢田川に面した広場は、兵庫県唯一のRVパークでもあります。RVパークとは、キャンピングカーユーザーなどが快適に安心して車中泊出来る場所のこと。香住青年会議所と協力し、「RVパーク香美の隠れ家ときめき矢田川ヴィレッジ」として2018年9月にオープンしました。他のRVパークとは違い、川が近く静かな環境が人気だといいます。

― 分け隔てなく魅力発信

刺激的な言動と迅速な行動力が魅力の阿瀬さん。面白おかしくメディアに取り上げられることもありますが「プラスでもマイナスでも名が通れば構いません」と気負わず受け入れます。
「今は個々の価値を自分で説明し宣伝する時代ですし、発信したらそれだけリアクションが返ってきます。香美町の宣伝は観光協会出身である自分が地域のためにできることであり、それは自分の支えにもなっています」

そんなキャラクター性に惹かれる観光客も多く、あゆの里をイメージした萌えキャラ「あゆか」ちゃんのパネルを名古屋の有志が制作するなど、距離を超えてファンを増やしています。
「普通にできることを普通にやっているだけです」と話す阿瀬さん。数々の仕掛けを繰り出す名物駅長は、これからも香美町を賑やかにしてくれることでしょう。

LINK UP 阿瀬 大典さん

道の駅 あゆの里矢田川
[所]
兵庫県美方郡香美町村岡区長瀬933-1
[問]
0796-95-1369
(HP)http://www.ayunosato.kamicho.jp/
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