但馬PLACE VOL.3 城崎国際アートセンター


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2014年4月、山陰の名湯・城崎温泉に「アート」をテーマとした施設「城崎国際アートセンター」がオープン。旧城崎大会議館を活用し、舞台芸術を中心とした滞在型創造活動(アーティスト・イン・レジデンス)の拠点として生まれ変わりました。「温泉」と「アート」の融合による、アーティスト・イン・レジデンスの最前線をご紹介します。

― 「温泉」と「アート」の融合

 2014年4月にオープンした「城崎国際アートセンター」は、1千人収容のホールや宿泊設備を持つ旧城崎大会議館を再活用した施設です。アートセンターの一番の特徴は、「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」と言う発想。AIRとは、アーティストを一定期間地域に滞在させて、芸術創造活動の環境を提供する活動のことで、アーティストは日常とは異なる空間や環境、また、様々な国、地域、文化的バックグラウンドを持った人々との交流によって、芸術創造活動のインスピレーションを得ることができます。

 日本では絵画など美術作家向けのAIR施設は数多くありますが、舞台芸術(パフォーミング・アーツ)を主体とした施設はほとんど例がありません。大会議館の広さと城崎温泉の情緒が、舞台芸術とマッチするのではないかと言う構想を基に開設されました。

 舞台芸術関係者の評価も上々で、舞台芸術を創作する場としてはその広さが何よりも魅力との声が上がり、さらに、城崎温泉の情緒が創作活動によい影響を与えるそうです。また、「温泉」があるということは、肉体を酷使する舞台芸術の世界では、疲れを癒す最高の場所だという反応もあり、 まさに湯治場としての価値も再認識されています。

 現在、豊岡市芸術文化参与を務める劇作家・平田オリザさんからも、「海外の演劇関係者にもアピールできる取り組み」と評価され、2015年4月よりアートセンターの芸術監督を務めています。

― アーティストのいるまち – 城崎から世界へ!

 日本最大級の舞台芸術を中心としたAIR施設である「城崎国際アートセンター」。年に1回の公募によってアーティストやカンパニーを招き、年間を通してアーティスト・イン・レジデンスのプログラムが行われています。もちろん市民の一般利用も受け付けますが、公募で選ばれたアーティストが最長3ケ月の間センターに滞在して、24時間自由に活動することができます。

 その間の宿泊費やホール、スタジオの使用はすべて無料。滞在中に制作した作品を城崎で発表することはもちろん、じっくりと創作活動に集中し、日本、世界中に新たな作品を送り出すための活動も支援します。1千人収容のホール、6つのスタジオ、最大で22名分の宿泊設備を備える施設の評判を聞きつけ、国内外を問わずたくさんの問い合わせが寄せらています。トップレベルのアーティストが滞在、地元住民は世界の最先端の舞台芸術を間近でふれることができます。

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 舞台芸術で活躍するアーティストを身近に感じられることは日本でも少なく、但馬の住民にとってはとても幸運なこと。アートセンターではもう1つの目的である、地域の人にもっと身近に「アート」を感じてほしいという取り組みも行っています。

― 一流のアーティストと身近にふれあえる!!

 地域の人に「アート」をもっと身近に。アートセンターのもう1つの役割は、アートによる「にぎわいの創出」や「地域の新たな魅力」を発信すること。これは言葉の通り、地域に根ざした芸術活動を意味します。アーティストの滞在中は練習風景を一般公開したりするなど、地域とレジデンス・アーティストとの交流の場を積極的に設けています。

 作品を観ることはもちろん、ダンスの体験講座といったワークショップや座談会、トークショーやシンポジウムなど、アーティストと直にふれあえるイベントもいっぱい。市内小中学校で演劇的手法を用いたコミュニケーション推進事業の授業も行っています。ボランティアや市民ダンサーとして、最先端の舞台芸術に関わることもできます。

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 またその他にも、関西有数の観光地である城崎温泉とコラボした「パフォーミングアーツ・ツーリズム」を昨年より開始。今秋その第2弾として、2015年10月19日~24日の5日間、城崎温泉の各所で『城崎温泉ダンス旅』と『ダンサーを探せ!!城崎温泉』が開催されます。これはアーティストと地元住民、そして観光客を巻き込んで行われる、まさに国内でも珍しいパフォーミングアーツとツーリズム(観光)の融合による新しい旅の形の提案。ぜひパフォーミングアーツの世界を肌で感じてください。

 「芸術と言うと、敷居が高いと感じる人もいると思いますが、アートセンターでは芸術を気軽に感じてもらえるプログラムを用意しています。芸術の才能は誰もが持っていると私は思っています。一流のアーティストとふれあうことで、思わぬ自分に出会えるかもしれませんよ」とは、アーティストと住民をつなげるアート・コーディネーターとして活躍する橋本麻希さん。今後は舞台芸術に関する素朴な疑問に答える場も設け、アーティストと住民との垣根を取り払っていきたいと話します。

 トップクラスのアーティストが浴衣姿でふらっと温泉街を歩き、外湯で疲れを癒す、地元のおばちゃんと何気ない会話をする…。そんな「身近にアーティストのいるまち・城崎温泉」で、新しい自分を探してみてはいかがですか。

bbb

LINK UP 城崎国際アートセンター

■城崎国際アートセンター
[所]兵庫県豊岡市城崎町湯島1062 [時]9〜22時[休]火曜[問]0796-32-3888
(HP)http://kiac.jp
(FB)https://www.facebook.com/kinosaki.international.artcenter

 

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