お菓子のふるさと但馬|お嫁さん菓子

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但馬に昔から残る嫁入りの風習「お嫁さん菓子(花嫁菓子)」。ご近所様との縁を大切にしてきた幸せを運ぶお菓子の文化です。

「お嫁さん菓子(花嫁菓子)」とは?

「お嫁さん菓子(花嫁菓子)」とは、花嫁が嫁入りの門出に集まってくださったご近所の方々に、感謝の気持ちを込めて配るお菓子のことです。また、新郎の家に入る時、新しい土地でのご挨拶も含めて、お菓子を配る場合もあります。このお嫁さん菓子は近畿では但馬や丹後、丹波地域で昔から大切にされてきた風習で、全国的にも一部の地域のみで行われている珍しいものです。かつては家の屋根からお菓子を撒いたそうで、「まき菓子」や「菓子ほり」とも呼ばれたそうです。現在は寿と書かれた紅白の袋に、いろいろなお菓子を詰め合わせて配ることが一般的です。「菊せんべい」という生姜風味の焼き菓子や「酢昆布」は定番で、子どもの頃、よく近所にもらいに行ったという方も多いはずです。

お菓子がご縁を結ぶ

知っている人がいない新しい土地で新生活をスタートさせることは、誰でも不安な気持ちになるもの。そんな時、このお嫁さん菓子を配るということは、初めて会うご近所様とコミュニケーションをとる上で、大切な行事となっています。実際に県外から嫁入りした女性に聞くと、「最初はお菓子を配るなんて驚き、恥ずかしいとも思ったりしたが、お菓子を受け取ってもらった方から笑顔で祝福されると距離が縮まった気がした」と言います。美味しいお菓子をもらって、幸せのおすそ分けをいただく。地域のつながりを大切にしてきた但馬だからこそ、今も受け継がれている風習と言えます。

現代のお嫁さん菓子

現在ではさすがに屋根からお菓子を撒くことはなくなりましたが、ご近所様だけではなく、職場や披露宴の際にお菓子を配るということが多くなりました。都会の人にとっては見慣れない風習のため、披露宴のお見送りの際にとても喜ばれるそうです。割り切れない数である奇数は縁起の良い数字とされ、奇数でお菓子の種類を用意することも多いようです。パッケージも定番の菓子袋や巾着袋の他に、メッセージカードを添えて寿箱で配るといった風に人それぞれ。出立ち式からの場合は、500個以上用意する方もいるそうで、まさに結婚式の際の一大イベントとなっています。大人も子どもも笑顔にするお嫁さん菓子は、「ハレの日」の風習として残していきたい文化です。