池田草庵「慎独」の教え


『夢但馬2014』事務局です。
先生、明日から「シンドク」やね!
夏休みに入る前の日、養父市立宿南幼稚園の男の子は、先生に笑顔であいさつをしながらこう言いました。

「シンドク」? 
みなさんはこの言葉をご存じですか。「慎独」と書きます。「自分ひとりでいるときも、心正しく、行いを慎むこと」という意味です。冒頭の男の子は、「明日から夏休みで先生はいないけど、僕、家でちゃんとお手伝いしたり、好き嫌いせずに食べたりするよ!」と言っているんですね。「慎独」という言葉は、中国の古典に書かれている古くて難しい言葉です。なのに、こんなふうに園児がさらりと使いこなすなんて、スゴイと思いませんか?

さらに驚くのは、この男の子だけが特別なのではなく、養父市宿南地区の子どもたちは、みんなこの言葉を知っていることなのです。
宿南地区は、明治期の政財界に多くのリーダーを輩出した私塾「青谿書院(せいけいしょいん)」があったところ。塾長は、但馬聖人と呼ばれた池田草庵です。そして、草庵先生が門下生に説いた代表的な教えの一つが「慎独」なのです。

草庵先生の教えが、今も教育の場で大切に受け継がれ、生活の中の言葉として子どもたちにも使われているなんて、本当に素晴らしい! 「慎独」の教えは、今の私たちにも全く古さを感じさせません。但馬から世界に発信したい「SHINDOKU」。まずは心をしっかり保つこと。大切に受け継ぎたい草庵先生の言葉です。(K)

写真提供:養父市教育委員会
青谿書院の畳の間に正座して、草庵先生の教えを学ぶ宿南小学校の児童たち。正面には草庵先生の肖像画が掲げられています。