田久日と平家落人伝説


『夢但馬2014』事務局です。
写真は、日本海沿いの道路から、豊岡市竹野町の漁村、田久日(たくい)の岸壁を見たものです。岸壁に穴が掘られ、埋め込まれるようにして小さなお社が祭られているのが分かりますか? 鳥取県にある国宝、三徳山三佛寺の「投げ入れ堂」のミニ版みたいで、すごいのです。

ミニ「投げ入れ堂」も気になるけれど、すぐ後ろに山が迫る入りくんだ小さな入り江に、隠れるように住宅が密集している田久日は、なんだか気になる村。実はここ、「平家の落人伝説」が伝わる村なのです。「平家の落人伝説」は日本各地にあり、本当かどうかはよく分かっていませんが、但馬にも平家落人の里とされる村がたくさんあります。田久日もその一つです。

田久日は、昭和40年に道路ができるまで、完全に陸の孤島でした。竹野浜の人たちからも「田久日、見たか?」と言われるくらいだったのです。村はずれの山の中には、平家の武具や兵器を隠したと伝えられている場所も複数あります。「えー、ほんまに?」と思う一方で、徳川埋蔵金みたいで、ちょっとぞくぞくしますよね。

今では、「田久日の岩海苔」は知る人ぞ知る一品。「田久日の海苔は違う!」とグルメなファンが多くいます。新物として出回るのは、11月末ごろからでしょうか。但馬内の寿司店や料亭などで、特別な太巻き寿司として食べることもできます。大量に採れない天然ものだけに、とても貴重な平家ブランドです。あんまり有名にしたくない、ひっそりと輝きを放つ隠れた但馬の逸品として、平家ブランドを大切にしたいなと思います。(K)

参考:冊子「但馬海岸の平家落人伝説」豊岡市観光協会作成