全但バス株式会社の小坂祐司さん
『夢但馬2014』事務局です。
あまりにも身近で、いつも走っていて当たり前な存在の「全但バス」。いま、日本のバス業界から熱い注目を浴びていること、みなさんご存知ですか。本日ご紹介するのは、全但バス株式会社の小坂祐司さん(1974年、豊岡市日高町生まれ)です。
学生時代を京阪神で過ごした小坂さんは、但馬に戻って全但バス(株)に入社します。すでにバスの利用者は減り続けている状況で、入社から数年経った頃には、いよいよこのままでは会社の存続が危うい!というところにまでなります。会社…は決断を迫られます。そして一大転機となる平成19年、赤字路線の廃止(全路線の3割)を決めるのです。
「乗合事業課」の係長だった小坂さんは、会社を去って行く人が続出する中、路線廃止となる地域の理解を得るべく説明会に奔走します。「バスがなかったら、どうやって買いものや病院に行けいうんや」というおじいちゃんたちの切実な声を、つらい思いで受けとめながら、小坂さんは改めてこう思います。「バスはまだまだ必要とされている、路線を廃止する前にやれることを本気でやらんとあかん、お前それでほんまにええんかと絶対に後で後悔する、ほんまに全但バスはやることやったんか、と。バスを頼りにして利用してくれてるおばあちゃんから、“ありがとう”と言ってもらったことに応えなあかん」
そうして「攻め」の事業展開が始まるのです。どうしたらもっとバスの「サービス」を快適なものとして提供できるのか。バスの運行を「サービス」と考えて「営業」していく発想は、これまでありませんでした。
まずは興味を持って乗ってもらおう、運賃を大幅に下げよう、通勤に利用しやすいダイヤルに変更しよう、高校生に喜んでもらえるようバス内に携帯の充電コンセントやWi-Fiを整備しよう、ビールメーカーとタイアップして送迎付きの食事イベントを企画しよう、運転手は営業の最前線なのだからサービスに対する意識改革の研修を行おう・・・、まだまだあります、そして昨年には、なんとあの「ミシュラン」の名をバスに記したバスの運行が、大阪・城崎温泉間で始まるのです。ミシュランの名がついたバスは、世界で「ミシュラン・グリーンライナー」一台だけ! すごいことです。
成果は数字で現れました。豊岡市内で一番成績の悪かった「神鍋線」の乗降客が、平成22年:6万人→平成25年:11万人に増加したのです。これは、日本中のバス会社が大苦戦している中での大快挙。
「200円バスの始発式の日、神鍋の皆さんが手作りの横断幕をもって30人も集まって道路脇に立って“がんばれー”って応援してくださった。忘れられない」「僕は人に恵まれてるんです。上司はもちろん、一緒に仕事をさせてもらった豊岡市職員のTさんほか、地域の方々にも本当に感謝しかない」謙虚すぎる小坂課長、これからもどんどんつきぬけていってください!
※小坂さんの後ろに写っているのは、ちょうど通りかかった全但バスのハイブリッド車です。昔のデザインが復活されています。