鉱山技師コワニエとエミール・ガレ


『夢但馬2014』事務局です。
但馬では稲刈りが始まりました。稲木でお米を天日干しする風景があちこちで見られます。食欲の秋です。お米のこと、但馬牛のこと、梨のこと、お魚のこと、ご紹介したい食べものがいっぱいありすぎる! でも今日はあえてアートのお話を。

アールヌーボーを代表するエミール・ガレ。日本文化の影響を受けたロマンチックな作風でファンの多いフランスのガラス工芸作家です。写真は神戸にある異人館「うろこの家」で撮影したランプシェードです。キレイですよね。ガレがどうやって日本文化を知ったのか、たどっていくと、但馬が関係しているのですよ、ご存じでしたか。

物語は、1866年、フランス人のジャン・フランシスク・コワニエが生野鉱山にやってくるところから始まります。彼は、ノミでコツコツ掘っていた採掘現場に火薬を導入し、作業の近代化に尽力した鉱山技師です。

このコワニエの元に、明治政府の技術官僚、高島北海がフランス語を学びにやってくるのです。高島は政府の命を受けてフランスに渡るのですね。芸術が好きで画家としての才能も持っていた高島は、フランスで当時新しい芸術運動をしていたエミール・ガレらと知り合います。そして高島が、日本の文化や植物に関する知識をガレらに紹介するのです。

ガレの作風がこの世に存在するのは、生野鉱山でコワニエと高島が出会ったことに起源がある! 生野鉱山が世界のアートシーンに影響を及ぼすきっかけの場所だったなんて、本当にすごいことです。

後で振り返ってみると、ちょっとした出会いや交流が、大きな出来事のはじまりになっている。出会いの一つ一つを大切にしたいと、すがすがしい秋らしい夕暮れに改めて思います。(K)