八鹿豚(ようかぶた)生産の小田垣縁さん
ブランドじゃない豚はただの豚だ。スペインと言えばイベリコ豚、但馬と言えば「八鹿豚(ようかぶた)」さ。さて、本日ご紹介するのは、小田垣縁さん(1985年、養父市八鹿町生まれ)です。
小田垣さんはおじいさんが始めた養豚業の家に生まれました。継ぐつもりなどありませんでしたが、動物が好きという理由で但馬農業高校を選択。しかし、ここで、生涯の恩師となる先生に出会ってしまうのです。先生に学ぶうち、小田垣さんは「養豚を継がないのはもったいないのかも」と思い…始めます。そして少しずつ「日本一のブランド豚を育てたいな」と思い始めるのです。
小田垣さんの心の変化を、先生は見逃しませんでした。全国の農業高校の農業クラブが参加する意見発表大会に出場して受賞しよう!と小田垣さんをやる気にさせ、養豚にかける思いを徹底的に考えさせます。小田垣さんは先生の期待をはるかに越えて、なんと最優秀賞の農林水産大臣賞を受賞。その後は、東京の短大で畜産を学び、卒業後は迷いなく実家にもどります。
昭和56年に八鹿で畜産が開設された当初は、8軒の畜産農家がありました。しかし、小田垣さんが戻ってきた頃には、後継者不足などから一軒また一軒と無念な廃業が続き、2012年末にはついに小田垣家だけとなってしまいます。このとき、小田垣さんは決心するのです。「八鹿豚」をブランド化する!
そもそも「八鹿豚」というブランドや呼び方は、昔からあったわけではありません。地元の消費者が愛着を持っていつしかそう呼び始め、ここ10年ほどで広まってきたものです。小田垣さんはこの「八鹿豚」に込められている多くの方の気持ちを感じないではいられませんでした。高校時代、先生から与えてもらった試練と愛情に必至でくらいついて目標を達成したように、地元の方に育てていただいた「八鹿豚」の唯一の後継者として、「小田垣」の名にかけてブランド化しようと決めます。そして、今まで気になりながら取り組むことができていなかった「営業」を本格的にはじめるのです。
家族が手塩にかけて育てる豚の美味しさを、伝えるべき相手に伝え、その良さを分かってくださるファンを増やす。今では、城崎温泉の旅館や地元の飲食店などが、その美味しさに惚れ込んで取り扱いをはじめています。また、養父市のブランドにも認定されています。
地元のビジネスの先輩達も、がんばる小田垣さんをあたたかく見守ります。多くの方に支えられ、それに本気で応えていく小田垣さん。「おだがきさん家の八鹿豚」はこれからもますます進化していく予感でいっぱいです。暑い夏はあっさり、しゃぶしゃぶがオススメですよ!