但馬PLACE VOL.11 かんなべ自然学校


兵庫県には学校行事として、県内小学5年生の児童を対象とした4泊5日の「自然学校」が存在しますが、「かんなべ自然学校」はそれとは異なります。学校の枠を超えた、この場所だから学べることがあります。

― “気づきの場” かんなべ自然学校

「NPO法人かんなべ自然学校」は、四季折々のアウトドアをフィールドとし学んでいく学校です。学校とはいえ提供されるのは授業ではなく“気づきの場”。講師から何をすべきかを教わるのではなく、参加者自身が自然から「楽しい生き方」「自分の価値観とは何か」を学び、考えていきます。

プログラム内容では、世界認定された「山陰海岸ジオパーク」の真ん中に位置する豊岡市神鍋高原を中心に、但馬全域の自然を使います。名瀑を多く有する阿瀬渓谷でのシャワークライミングや、神鍋火山群が作った「神鍋溶岩流」を歩くトレッキングなど。釣りや山菜狩りで集めた食材を自分たちで料理する恒例プログラム「自集自即」から始まった体験プログラムは、少しづつ改善されながら、より自然の楽しさと危険を学べるものになっていきました。

― “あそび”を通しての“まなび”

「何が危険で、どこまでやっても大丈夫なのか。昔は自然遊びを通して学ぶことができました」と、代表の前田敦司さん。幼い頃から神鍋で多くのことを学んだという前田さんには、今の子どもたちにも自然の中に入るきっかけを作ってあげたいという思いがあり、東京から家族でUターンしました。教えたいのは自然遊びの「楽しさ」と「危なさ」。日常よりも危険が近い自然の中で自分で考えさせることで、生活する上で排除しきることができない危険を回避する力が養えるといいます。

かんなべ自然学校が2013年に設立してから、今年で4年目になります。「“あそび”のなかに“まなび”がある」という考えが賛同を呼び、今では小学生を対象にした夏のプログラムが、予約受付開始からたった2時間で埋まるほど注目されるようになりました。初めての友達とのコミュニケーション能力の向上や広い視野の育成を目指す小学生向けプログラムの他にも、家族や友人・同僚と一緒に参加できる体験も充実しています。

― 自然という学び舎に飛び込もう

「子ども時代に自然と向き合ってないと、大人になって都会に出ても自然という財産が視野に入らない。入り口体験として「自然遊びって面白い」と感じてほしい」と、前田さんは願っています。「せっかく近くに自然があるのに見ているだけは勿体無い。体験したら自然はもっと楽しい」そう語る前田さんが考え出すプログラムは、冒険と発見に満ちています。

家庭でも学校でもない場所だと、今までの関係性から離れて本当にその人が持つ“個”となることができると、前田さんはいいます。普段の関係を深めるものとは違い、新しい関係性を作れる貴重な機会でもある、かんなべ自然学校。この場所にいる子ども達は、みんな自らこの体験に興味を持ち、それぞれ成長できる力を持っています。自然という広大な学舎に向き合い自分自身を引き出せる勉強は、きっと何ものにも変えがたい財産となることでしょう。今一歩、自然の中に足を踏み出してみてはいかがでしょうか。

※画像提供:NPO法人かんなべ自然学校

LINK UP かんなべ自然学校

■NPO法人かんなべ自然学校
[所]兵庫県豊岡市日高町名色85-76 [問]0796-20-3541
(HP)https://www.kns.hyogo.jp/
(FB)https://www.facebook.com/Kannabe.nature.school/

 

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